ペロシ米下院議長の台湾訪問が、中台の緊張感を一気に上げて、中国の人民解放軍は台湾の周囲に設けた演習地域でそのまま居座り、このまま台湾への軍事圧力を維持して行く様子。中国側がよほど腹に据えかねたのか、あるいは何となく噂されている、中国側が今回ペロシ氏訪問を口実に台湾への侵攻計画を実行へと進める下準備をしているのか、そこは分からない。ただ、「台湾は中国の一部」を主張する中国としては、いつかは物理的に併合する目標の一つである以上、今回の件はある意味好都合だったのかもしれない。別に今信仰をしなくても、これまで以上に軍事力を台湾周辺へ配置する理由が出来たわけですからね。
台湾や日本を初めとする周辺国にとっては迷惑な話何だけれど、一つ疑問なのはそれって中国にとっても負担になるのでは、と言う事。決して少なくない軍事力を、中国本土から離れた台湾周辺に常時貼り付けているわけで、それってそれなりに維持費が掛かる話だと思うんですよね。大きな軍事予算を抱える中国人民解放軍にとっては、微々たる経費なのかもしれないけれど、幾ら中国人民解放軍の予算が日本の自衛隊の何倍もあるとしても、そのぶん軍隊の規模も大きいし、装備だって今急ピッチで増産している最中。そんな中で、さらに台湾周辺への軍備配備をこれから長期間続けていくことが、決して小さな負担では無いと思うのだけれど。
中国以上に世界中に軍事力を展開しているアメリカ軍の負担は、さらにその何倍もの規模なんだろうけど、予算もそうだし人員にしても長期間緊張の中にいることに精神的な負担を感じるだろうし、決して中国人民解放軍にとっても良いことだけでは無いと思うのですが。そう言う意味では、これまでのように台湾の対岸にそれなりの規模の軍事力を集めておいて、何時でも信仰できるぞと睨みをきかせているのが、一番コスパが良いんじゃ無いかと思う。中国としても、いつかは統一したいけれど、例えば香港のように向こうから倒れてくれるのが一番良いと思うだろうし、現状台湾との色々な意味での協業体制を壊したくないだろうし。
今のロシアの様子を横目で眺めて、中国としても武力で台湾侵攻スレが即解決というような単純な思いは無くなったと思うんですよね。圧倒的な軍事力差が合っても、ちょっとした切掛で一つ崩れ出すと、それが後々まで波及して膠着するというのが、今のウクライナ侵攻の教訓だと思う。ただ、ロシアとの違いは、中国はロシアと違って半導体やその他多くの部材・製品を内製できるし、素材にしてもそれなりに自国内で融通出来る状態。さらに、世界経済的には、ロシア以上に他国が中国の製造に依存して居る以上、ロシアに対して程強気には対応出来ないだろうし。半導体関係で言えば、もし台湾有事が発生したら、今以上に世界中の半導体クライシスは大きくなるだろうし、一方で中国はそれを何とか凌くらいの技術力や製造力は持っているから質が悪い。今の台湾周辺への派兵はもう暫く続くとしても、そのコストが無視できない位になって元の鞘に早く収めることを期待するしか無いですね。面子の国だから、なかなか引くに引けないという事情もあるんだろうけど。
0 件のコメント:
コメントを投稿