2022年7月7日

値上げ阻止の強要

昨日テレビやメディアで取り上げられていた、回転寿司大手のくら寿司が1皿220円の高価格帯寿司へ提供商品をシフトするという報道。 「一皿100円(税込み110円)」で販売していたのに、一気に倍に価格アップみたいなニュアンスを言外に感じられる伝え方なんですが、メディアが一企業に圧力を掛けているようにしか見えない。

確かに、回転寿司チェーンの多くは、「一皿100円」というような低価格路線で顧客を獲得して、チェーンを増やしてきたことは事実。でも最近では、低価格路線の大手に対抗して高価格帯の高級路線で顧客を獲得している中小のお店も増えているし、必ずしも「回転寿司=低価格大衆寿司店」みたいなステレオタイプの押しつけは止めて欲しいところ。殆どの低価格商品は、「薄利多売」で利益を出している物が殆ど何だから、提供するお店側としては可能ならば利益幅の大きな商品を沢山売りたいのが本音だろうし、その為には多少価格が上がってもお客様がそちらを選択してくれるのが理想的なはず。今回のくら寿司の場合も、全てを220円価格帯にするわけではなく、これまで7割あった110円寿司を6割(=40種類)に減らして、そのぶんを220円の寿司でカバーするというもの。それが成功して利益率が上がるか、失敗してライバル店に顧客が流れるかはこれからの勝負次第だけれど、企業活動としては健全な方向性だと思う。

この回転寿司のケースだけでなく、ここ最近色々な物の値段が上がっていることは事実ですが、一般に流れてくる報道の殆どは「これまで〇〇円だった物が、来月からは××円に値上がりする」みたいな取り上げ方ばかり。しかも「〇〇年値上げしていなかったのに、今回の値上げは」みたいな言い方をしているんだけれど、幾らデフレが続いていた日本社会とはいえ、値段が変わらないことの方がおかしいと思うし、さらに最近の素材の価格アップもあるのだから、「今こそ、本来の価格に、リエの出る価格にするタイミングですね」くらいは言っても罰は当たらないと思う。勿論、それに反発する視聴者もいるだろうし、今の状態でも生活に困っている人も多いだろうから、そう言う人達への手後はしっかりするべきだと思うけれど、それ以上に少しずつでも収入が増えて行くライフスタイルモデルをしっかり取り戻すことをもっと伝えるべきじゃないだろうか。値上げを誉めることは出来ないだろうけど、責めるべきは値上げすることでは無く、値上げする一方でそれに見合った収入増加に繋がらないことな訳で、そこをメディアはもっと言うべきだと思う。

勿論「どんどん値上げして下さい」とはメディアとしても言えないだろうけど、これまで何年も値上げしないで耐えてきたお店に対しては「これまで苦労してきたんだから、見合った価格にしてもお客さんも理解してくれますよ」くらいのことは言っても罰は当たらないと思うし、そうやってお店の経営を支えることが、そのお店を利用している顧客の最大の利益になると思う。値上げをせずに我慢して我慢して我慢の限界を請うてお店が潰れしまったら、一番困るのはそのお店の利用者ですからね。逆にメディアとしては、今こそ便乗値上げを監視して指摘するべきだと思うけれど、今回の場合はそうしたくてもするほどの余裕も無い状態のような気がする。

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