AERA dot.に掲載された、政府分科会の尾身茂会長が理事長を務める地域医療機能回診機構(JCHO)参加の公的病院で、新型コロナウイルス患者用の病床が30~50%使用されていないと告発する記事。実は同様の話を以前から、元厚労省の医系技官の木村盛世氏が何度かメディア等で指摘していて、実際どうなんだろうか個人的にも疑問に感じていた話題。木村氏の発言は、全てでは無いけれど同意できる内容の発言も多くて、どちらかと言えば個人的に信頼出来る範疇の人と言えます。ただ、何故か尾身氏に対しての発言になると一寸過激に感じる事が多くて、それがやはり個人的に一寸不信感を感じていたところ。
で、そのAERA dot.の記事に対して、医療関係者と思われ方が反論というか詳しい背景説明をされていて、これを読むと一般診療を中止して、100%コロナ対応病院指定にでもしないと、全ての病床をコロナ対策で埋めることは無理という事が理解出来ます。また、物理的にベッドであったり医療設備があっても、対応する看護師や医療関係者が足りなくて、全てのベッドを活用する事も難しいと言う事もよく分かります。私も、以前入院してICUにも入ったことがあるんですが、もう毎日24時間ずっとつきっきりで、本当に自分のことよりも、自分がこんなことになって迷惑を掛けてしまい申し訳ない、みたいな気持ちになるくらい献身的に看護をしてくれます。勿論、複数のチームが複数の患者を診るのですが、毎日同じ人が勤務するわけにも行かないだろうし、ローテーションを考えると、入院患者数の数倍のリソースは必要だろうし、新型コロナ対応となると通常の人員よりも多くの人員が必要と言われているので、病院側の苦労は並大抵では無いなと素人でも理解出来る状況。それでも、病室が逼迫している現状では、一般患者を転院させて病床を開けて新型コロナウイスル対応するようにしたところもあるみたいで、その転院してもらう努力に費やすリソースだって並大抵じゃ無いだろうし。ここの所新規陽性者数が段々と下降傾向になってきていて、個人的には第五波のピークは越えたかなと思っていますが、それでも毎日多くの新規の重傷者が生まれていることは事実で、これがゼロにならない限り、あるいは退院する人が劇的に増えない限り、病床はどんどん埋まっていくだけ。それを考えると、まだ暫くは病床不足、病院崩壊危機は続くわけで、そうなると軽症者は自宅療養や集団療養所(所謂「野戦病院」)の様な対応でベッドを開けて、より重篤な人を優先するしか無い。
その野戦病院システムだって、それなりに人が必要なわけですからね。アルバイト雇って何とかなるという世界でも無いし、もう少し落ち着いたら今回の経験から、こう言うパンデミック時の医療体制とか支援体制みたいなものを考えないといけませんよね。言ってみたら、自衛隊の予備役みたいなシステムが、医療関係でも必要になるかもしれない。あるいは、確かスイスがそんなシステムがあったと思いますが、国民皆兵システムで軍事教練の一環として保健衛生の技術習得をさせて、必要最低限の医療活動が非常時には出来るようにするとか。阪神淡路大震災とか、東日本大震災とか、大規模災害を経験して新しいシステムや支援内容が生まれたりしましたが、今回の新型コロナウイルス後にも、色々なところで大きな社会システム変革が生まれてくるかもしれない。と言うか、変わらなかったらそれこそ「平和ぼけ」と言われてしまう。そうやって、色々な犠牲を払いつつも、より良い社会とか仕組みを考えて実現していくことが、残った人達の義務なんでしょうね。
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