現在国内で感染拡大をしている「デルタ株」について、その起点は首都圏で発見された1例から広がったと推測されるという記事。「起点」と思われるのは、5月18日に検出されたウイルスで、それは一月前に空港検疫で見つかったものとよく似ているとのこと。一月間潜伏していたというよりは、すでに4月から国内侵入の兆候があり、運良くそれまでは感染拡大していなかったけれど、一つ気ほどして十分に国内に広がって段々と勢力が拡大してきたんでしょうね。
ゲノム解析で、そこまで遡ることが出来るというのも個人的には驚きと脅威だけれど、文字通り「蟻の一穴」から徐々に浸水してきたものが、段々と大きな浸水口になり、ある日突然堤防が決壊して大惨事になるのと同じですよね。そう言う意味では、今の感染拡大の状況は、堤防に空いた穴を必死に詰め物をして止めているけれど、そろそろそれも耐えられなくなってきた状況だろうか。いずれにしても、タイトルや記事の説明からだと、恰も一人の感染者から一気に感染拡大したように受け取れますが、最初に発見された4月から一月の間に徐々に都内や首都圏に、あるいは全国に浸透拡大していったと考える方が正解でしょうね。
この記事で感じるのは、まさに台湾であったり、シンガポールであったり、あるいは最近の中国であるように、出入国を完全に止めて外部からのウイルス侵入を防げているうちは良いけれど、それによって逆に国内が「無菌状態」みたいな事になって、一つでも国内侵入すると爆発的に感染拡大してしまう「諸の剣」でもある事。だから、以前は世界的にも感染拡大が抑えられてきたアジア地域が、 今爆発的に感染拡大しているのは、押さえてきていてワクチン対応が遅れていた事もあると思いますが、侵入防止策は対処療法であり根本解決策では無かったと言う証明でもあるように感じます。
国内では、昨日は東京都で5000人を超えて、全国的にも1万5千人越の状態で、かなり感染拡大している様子が伺えます。タイミング的には、今の感染拡大の原因は東京オリンピック開幕前に緩んだ状態の時に感染したと推測されるから、そろそろオリンピック開幕後の「無観客試合」の影響がどれだけ出てくるか気になります。一気に減ることは無いだろうけど、ここで少し平行状態あるいは緩やかな減少に入れば期待出来るのですが。今の所、ワクチン接種済みの高齢者への影響は以前の感染拡大期よりも減っているので、これからその下の世代へのワクチン接種がどれだけ進むか、その競争になりそう。ワクチン接種が最後の切り札であることに変わりは無いけれど、結局は三密回避とマスクにうがい・手洗いという基本対策は、ずっと変わらない。結局今の感染拡大についても、デルタ株という感染力の強い変異株の登場も理由だろうけど、三密回避とかマスク・手洗い無しでの会食やBBQといった、個人的な行動の増加も大きな理由だと思うんですよね。最近では、以前と違ってそう言う行動を伝えるメディアの論調にも批判的なトーンを個人的には感じるようになってきて、やっと危機感が少しは共有され始めたのかなとも思うんですが、今こそもっと強調するべきだと思う。で、散々東京オリンピックを批判してきた人達は、来週から始まる甲子園高校野球をどうするんだろうか。また、オリンピックで中断していたプロ野球やその他競技も再開されるだろうし、環境的には東京オリンピック開催中よりも厳しくなるんですよね、今月は。だからこそ、蟻の一穴を堤防決壊に至らせないように、多くの人が浸水を止める=三密回避・マスク・手洗い、という小さな事でも良いから協力するのが今一番必要な行動だと思う。
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