2021年6月17日

言いやすさに流れるメディア

新型コロナウイルス関連のテレビ報道を見ていて、未だ「〇〇株」と地域名を使用しての報道が続くことに関しての記事の一つ。 WHOでは、その変異株が発見された国名ではなく、ギリシャ文字を使用して「Alpha」「Beta」「Gamma」「Delta」と順に使用する事にしたのに、未だにテレビ報道などでは「〇〇株」と国名・地名を使用して伝えられることがしばしば。

少し前の新型コロナウイルス関連の報道なんですが、それを見ていたら、画面上それぞれの変異株の拡大状況をグラフで示したテロップが映し出されていました。そこにはそれぞれ「武漢株」「イギリス株」「インド株」「南アフリカ株」とそれぞれのグラフの属性がはっきりと書かれていました。所がそれを説明するアナウンサーは、「イギリス株」とか「インド株」とか言うのに、決して「武漢株」とは言わずそれに相当する部分は「新型コロナ」とかいう言い方しかしない。と言うか「武漢株」というのも変な話で、もしそれ以降の変異株の名称に合わせるなら「中国株」と言わないとおかしい。でも、そんな使い方をする報道番組は殆ど見た記憶が無いんですよね。最初のコロナウイルスだからか、単に「コロナウイルス」という形で伝えられるのに、それ以外のものに関しては「〇〇株」と未だに呼ばれる不平等さ。

それでも、ギリシャ文字で伝える場合も有るのだけれど、それも最初の一回位でその後はまた「〇〇株」と国名ベースの言い方に戻ってしまう。既にそれなりの期間そう言う言い回しをしてきたので、言う方もその方が慣れているし、聞く方も「アルファ株」などと言われるよりは「〇〇株」と国名で言われた方が理解しやすいという事も有るんだろうけど、偏見を無くすためにわざわざそう言う言い方をすると決めたことなのだから、先ずはメディアがちゃんと使うことで視聴者に浸透させる義務があると思うんですよね。100歩譲っても「インドで発見された『デルタ株』が××で発見されて」という言い方をする位で、以後は「デルタ株が~」で通すべき。実は、この「〇〇株」という国名ベースの言い方は一寸混乱することもあるわけで、今回もGoogleで例えば「インド株」と検索すると、新型コロナウイルス関連の記事とともに「インド株投資ファンド」みたいな記事も表示されるんですよね。同様に「イギリス株投資」とか「南アフリカ株投資」という事も有るだろうし、そう言う意味でも「誤解を誘発する行為」だと思う。

「政府の説明不足」の話も同様だけれど、実は一次データというか元データはちゃんと提供されている。デモ、メディアがそれらを適切に視聴者や読者に伝えないから「政府の説明不足」と思ってしまう。同様に、誤解や偏見を割けるためにこう言う形で伝えて下さいと言われているのに、以前のままの用語で伝える事は、メディアがよく批判している「差別や偏見の助長行為」そのものじゃ無いだろうか。これって、ある意味「レッテル貼り」でもあるんですよね。このインドカレーの記事にしても、風評被害に悩まされていると書きながら、何の解決にもなっていない記事。風評被害が発生しているのは、メディアがいまだに「〇〇株」という表現を使っているからであり、メディアがちゃんと「デルタ株」という正しい用語のみを使っていれば、時間は掛かるけれどちゃんと解決される問題のはず。結局はメディアの機能不全が世の中を混乱させている例の一つだなと思います。

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