2021年5月8日

特許放棄

バイデンアメリカ大統領が、新型コロナウイルスの特許権の適用除外を求めている権、個人的には反対で、少なくとも特許権は認めた上で、使用料に関して先進国が発展途上国分も支援するとか、あるいは何か基金のようなものにするとか、100%は無理でもそれなりの割合でカバーすることを考えるべきでは。

私も、一応開発エンジニアの端くれなので、仕事の中で生まれてきたアイデアで社内の特許申請は何度もしているし、その中には幸運にも特許として認められて登録されたものもあるけれど、やはり何か物作りをしている人間にとっては「特許」というのは大きな憧れでもあるし誉れでもあるもの。企業体にとっては、その特許でどれだけビジネスが広がるか、核となるものであるし武器でも有るもの。私も実際に特許を申請するまで、「思いつきがお金になって良いなぁ」くらいの認識だったんですが、もやもやとした「思いつき」を、誰がみても同一のものに見える・理解されるような形に「洗練」して、しかもその中に唯一性とか技術的革新性とか、独占的に使用する納得出来る理由・背景を見せないといけないわけで、正直あの工程があるなら多少のアイデアなんて捨ててもいいや、と思うくらい大変なところも。まぁ、そう言う自分がつまらないと思ったものが、ライバルメーカーに特許として取られてしまうこともあるわけで、そこは自分の努力不足思慮不足を呪うしか無いのだけれど。

一方で、高額なワクチン価格、あるいは全国民に二回という大量の購入が必要な事が、この新型コロナワクチン接種のハードルの一つでもあるわけで、そこは何か解決しないといけないのも事実。製薬会社にしても、決して少なくない会費強うと時間を掛けて、今回のワクチンを開発して製造しているわけですからね。しかも、今回はたまたまmRNAワクチンの研究が進んでいた暁光もあるけれど、世界的な緊急事態という事で通常時以上に試験や開発を加速しているわけで、それは当然通常以上のコスト(=お金)が掛かっているという事でも有るんですよね。もしかしたら、回収できないかもしれないリスク回避のために、本来なら治験期間も長く取るだろうし、途中途中で検証しつつ実績を積み重ねていくところを、一気に大量のリソース投入をして平行して治験したり、無駄になるかもしれないようなテストケースも多分先行して実施して問題を先に潰したりという事をやったから、今回の様に短期間に高性能なワクチンが準備出来たわけですし。それが、特許放棄させることで、他社はその技術や情報を利用してより有利な立場からスタート出来る分けで、それはやはり不公平だと思う。 

薬の中には「ジェルリック医薬品」というものがあって、あれは薬品成分などで特許の保護期間が過ぎたもので、同じ成分の物を作る事で、同等ながら価格を下げたもの。ただ、一つの薬が一つの特許でカバーされるとは限らず、良くあるのは成分特許は切れていても、それを作るための製法に関しての特許とか、周辺特許が終了していないと、成分的には同一でも実は「似て非なるもの」でもあるんですよね。だから、ジェネリック医薬品の意味や価値は理解出来るけれど、どうしても本来の医薬品を心情的には優先してしまう。今回の話は、ジェネリックどころか、完全に同一のコピー作成が可能な状態にしろと言われているわけだから、これは開発メーカーとしては譲れない。ジェネリック医薬品は、少なくともオリジナル医薬品と似ているけれど超えるものでは無いけれど、特許放棄したらそれ以上にもの、あるいはそこから全く別の物が生まれてくる可能性もあるわけで、そうなると特許権だけで無くワクチンにしても誰がどんな物を作っているのか管理不能な状態にもなるんじゃ無いだろうか。仮に、今回の特許を除外するのであれば、例えばそこから派生した製品に関しては他社の特許権も認めないとか、その売上げの何%かを元の特許保有メーカーに還元するとか、何らかの対策を考える必要があると思う。もしかしたらワクチンメーカーは、特許を解放しない代わりに、特定の国や地域に対しては無償でワクチン提供するくらいのことを言っても、特許は死守するんじゃ無いだろうか。それ位、開発メーカーに取って「特許」の持つ意味は重いと思う。

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