2021年2月28日

Clubhouseと言語

佐々木俊尚氏のnoteコラムから、Clubhouseに関して。 公開されている部分で、表音文字である英語での文字数に対して、表意文字である日本語の優位性を話されているんですが、これに関しては一寸疑問を感じるなあ。

例えば、twitterとかだと文字数制限が有り、それはイコール使用可能なバイト数の制限でもあるわけです。twitterは140文字までとなっているのは、そのデータ部分に140bytes分のエリアを割り当てているから何でしょう。日本語でも140文字可能なら、実は日本語はダブルバイトだから、280bytes分のエリアが必要になり、それが逆に現在は英語版twitterでも280文字まで可能らしい。いずれにもして、複数のアルファベットを使用して「単語」を形勢して、それを組み合わせることで「文章」になる英語に比べて、2バイト単位で一つの「文字」が利用出来、それを組み合わせることで「文章」になる日本語(や、その他ダブルバイト言語である韓国語や中国語も同様でしょうけど)が、見た目では有利奈古とは事実だと思います。

ただ、Clubhouseの場合は「音声」での情報交換だから、一定の時間にどれだけの「言葉」を発するかで情報量は変わるわけで、そこに文字数は関係無い。どちらかと言えば、音節数が多い言語の方が不利になることはあるだろうけど。記事の中では「早稲田大学理工学術院」と「Waseda University Faculty of Science and Engineering」を比較しているけれど、10文字vs52文字で日本語が有利というのは一寸乱暴な気がする。例えば「早稲田」は日本語なら3文字だけれど、英語では「Waseda」と1語で表されるわけだし。だから、文字表記での情報交換をしている既存のSNSに対して、音声表現での情報交換を目指しているClubhouseとの、相違やそれぞれの優位性を言うのは理解出来ますが、音声コミュニケーションの中に、言葉の文字数の話を持ってくるのは無理があると思う。

佐々木氏は(公開部分の)後半で、以前も主張されていた「雑談コミュニケーション」の重要姓を指摘されて、それは私も同意する部分なんですが、そこでのClubhouseの問題点は以前も指摘したように、

  1. 会話記録が出来ないから、その場で出たアイデアなり議論の結論のような物は、別途記録する必要が有り、それはまた別の誤解や祖語を生む可能性がある
  2. リアルタイムの会話を理解するための能力が必要。例えば日本語の会話なら問題なくても、英語だったり他の言語の会話を理解するには、当然ながらそれらの言語が理解出来ないと駄目。SNSなら翻訳サービスを利用する方法もあるんですが、Clubhouseでは録音できないので、それも難しいだろうし
その時点でしか議論に参加出来ないというのは、緊張感があるから真剣な内容になるだろうし、希少性という意味でも価値が生まれると思うけれど、情報のもう一つの要素である「蓄積」とか「更新」みたいな物が生まれないと、一つの切っ掛けにはなるんだろうけど、プラットフォームにまでは成長できないのでは。以前も書いたように、「音声」というのは、ながら作業には一番向いていると思う半面、気になる情報を保持して何度も反芻する事には不向きな事も。言ってみれば、ラジオの人気DJがどれだけ番組を盛り上げられるか、と言う事と凄く類似していると思います。となると、DJ本人の魅力も必要だし、中の話題性も重要。閉じたコミュニティでの気楽な会話・雑談の場としては有効だろうけど、広く公開された情報公開の場としては、かなり癖が強い過ぎて大変じゃ無いかと、私は感じるんですが。

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