2020年5月7日

お気持ちだけ頂きます

毎日新聞に掲載された、ちょっと(かなり?)微妙な記事。防護服不足に悩む医療関係者を応援するために、兵庫県宝塚市の学校法人(幼稚園から高校までの児童・保護者)が、1400着の防護服(?)を、ポリ袋などで作成した寄贈したというもの。内容を見る限りでは、微笑ましくて殺伐とした現代において、清涼剤的な話にも聞こえるけれど、その「手作り防護服」を貰った医療機関も困るだろうなぁ...

TLにも同様のコメントが多く掲載されているけれど、本来精密な制作精度が要求される防護服を、ポリ袋で子供も含めた素人が作成して、果たして実用に耐えるのだろうか。少し前に、ANAのCAさん達が防護服製造を支援するというニュースがあって、「女性だから裁縫が出来るとは限らない」「厳格な精度が必要な防護服作成を舐めるな」みたいな意見が飛び交ったけれど、この記事に対しても同じなんだろうか。強いて言えば、このアイデア発案した幼稚園園長氏の考えが、ちょっと軽率だったという事は言えるかも。幼稚園なら、子供達の寄せ書きとか、そう言うものの方が「適している」と思うのだけれど。なんで、幾ら不足しているとは言え、手作り防護服を作ろうという話になったんだろうか。

困るのは、受け取る医師会でしょうね。折角の、しかも子供達の気持ちを含めての品物を無下に扱うわけにはいかないし、かといって実用に耐えうるかどうかは何の保証も無い。まぁ、記事になってしまったから、受け取ることは受け取るとして、そっと引き出しの奥に大切に保管して終わりじゃ無いだろうか。でも、1400着って結構な数量ですよね。その中で、「簡易版」とはいえ、実際の利用に耐えうるだけの品質をクリアー出来るものって、どれくらい含まれるのだろうか。多分、作るだけで機能テストみたいなものはやってないだろうし、例えば繋ぎ目を粘着テープで止めているけれど、その部分の密着具合とか全体の密封性確認みたいな事もやっていないだろうし。

「善意」は善意として、感謝しても良いと思うけれど、やはり必要な事も言うべき等では。例えば、受け取った医師会なり医療機関なりのコメントも掲載して、その中で「逼迫した状況の中では、ありがたく使わせて頂きたい。ただし、治療や検査の最前線では使用出来るだけの機能を備えていないので、病院の受付や事務作業員など、注意は必要だが感染リスクは低い部門などで活用して本来の防護服の消費を抑えたい。」くらいに、暗に仄めかすくらいはしても良いと思うし、これがブームになって全国的に広まらないようにそう言う情報も入れるべきではないだろうか。そう言う「現実」も、本来メディアが伝えるべき「事実」の一つだと思うんですけどね。

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