Diamond Princess号に乗り込み、内部の感染対応作業を批判する動画をアップした神戸大学の岩田健太郎氏と、その乗り込みに関わり、しかし岩田氏の動画内容の間違い・誤解を指摘した、沖縄県の感染医師の高山義浩氏。既にそれぞれの動画や反論のFacebookは削除あるいは非公開にされているのでリンクはしないけれど、個人的に一番疑問に思っているのは「何故岩田氏はDiamond Princess号に乗り込もうと思ったのか」という点。
ここまでの情報を見る限りでは、感染症に関しての専門家で国内外での活動履歴もある有名な先生らしいけれど、Diamond Princess号の感染症対策のために呼ばれたわけではない様子。それでも、何とか船内に入ろうとして色々伝を頼ったけれど、結局それも敵わず、最終的には高山氏の支援もあったのか、船内での医療チームであるDMATのメンバーとして船内に入るわけです。しかし、船内でDMATとしての活動から外れる行動・活動をしたために、2時間程度の船内滞在で退去を命じられることに。でも、その2時間の情報で得た自分の意見をYouTubeでいきなり発信したので騒ぎになった、と言うのが私の理解。岩田氏側の説明では、余りの酷さにやむにやまれずに公開したという事だけれど、その割りには高山氏から間違いなどを指摘されると、「自分の意見が反映された」として1日で動画を削除をしてしまうのも変な話。見ていられないくらいの「酷い環境」が、僅か一日で「改善される」事は難しいのでは。それまでに準備されて、たまたま動画更新のタイミングと合ったと言う事は有るかもしれないけれど、何か理由になっていない理由のような気がするけれど。
個人的に、この事象に一番近いなぁと感じるのが、製品開発の最終工程で、あと一息で製品として出荷出来るような修羅場の時に、いきなりエグゼクティブがやって来て、「製品レビュー」と称して、好き勝手を言って、折角開発担当者全員が苦労して工夫して問題や制限事項を解決してきたことを、最後の最後に卓袱台返しをする様子。しかも、そのエグゼクティブが、その製品の最終責任者で、最終決裁者であるならまだ分かるんですが、全然製品とは関係無い、ただ会社の偉い人がたまたま開発最終段階に突然入ってきて、やりたい放題やるのは迷惑以外の何物でもない。勿論、そのエグゼクティブの言う事にも一理あることは確かなんだけれど、それをこのタイミングで言うのかとか、それは既に制限事項として今回は見送る事が決まっているのにとか、それなりに理由があるわけです。今回だって、クルーズ船の船内という、物理的な制限が大きい施設の中での活動だから、動線確保にも人の移動にも制限はある。「そう言うことをやるべき」は理解しても、出来ない場合にどこで妥協するのか、どう言う代替策を考えるのか、それは現場が苦労して工夫して現場で運用しているわけですから、それに対して意見をするのであれば、その組織の責任者に対して意見するべきで、ある意味無責任に勝手に意見をして行くのは、その発言者の責任と問題だと思う。
別に売名行為とか、何か有名になろうという意図ではなく、純粋に感染医としての使命感からなんだろうけど、結局はやり方が悪かったと言う事なんでしょうね。まぁ、結果が全てという場合もあるけれど、でもそれって全く他に手段が無い場合に最後の手段としてやるべきもので、今回の様にすでに色々な対策が取られている中でやる方法じゃ無いと思う。結局は、ぎりぎりの環境で作業している人達の邪魔をして、余計な手間をかけさせたわけだから。結果さえ良ければ手段を選ばない、と言うの事を過激な人はよく選択するし正当化するみたいだけれど、それならそう言う人達が反対する「日本の為なら、相手を叩いても良い」事も正当化されるわけで、そう言う矛盾しているところがあの人達が広く支持されない理由なんでしょうね。今回も、そんな例の一つになってしまいそう。
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