2018年10月25日

伝わらない意思

福岡で開催された、全日本実業団女子駅伝の予選会で、岩谷産業の選手がゴール前で走れなくなり、四つん這いで残り200m程を移動して膝から足から傷だらけになりながらたすきリレーした件。何でチーム監督が止めなかったのか、最初にニュースを見たときには不思議立ったんですが、よく見る箱根駅伝の伴走車みたいな物は距離関係で無く、別の場所でモニターを見ていてちゃんと棄権の指示を出したんですよね。所が、選手の意識がはっきりしているからと現場の審判員が一回目の棄権を実施せず、二回目の再度の棄権要請も、すでにゴール前10m余りだったことから、そのままたすきリレーさせたらしい。

チーム監督は、「これは美談では無い」と言っているけれど、まさにそう。確かにチームスポーツでは、一人の脱落がそのままチームの脱落なり、他のメンバーに対しての影響が大きいけれど、それ以上にその選手が今後も協議を続けられるように安全屋健康第一に考えるのが監督であり、審判であり、主催者の義務のはず。確かに、リアルタイムに監督の意思が現場に伝わらないという制約はあったかもしれないけれど、少なくとも記事を見る限りでは一回目の棄権の意思は伝わっていたし、それを止めた現場の審判員の判断基準を公開して今後のために判断するべきだろうなぁ。

最近では、自分達が現役の頃は普通にあった厳しい指導が「虐待」とか「ハラスメント」と言われて御法度になっているのに、なんでそれ以上の行為であるああいうことが許されて、なおかつ美談としてメディア等も取り上げているのか理解出来ない。スポーツに限らず、何か指導するときには成長を促すためにも、厳しさも必要だし、有る程度極限まで頑張らせることも必要だけれど、「走る」競技で「走れなくなった」のでは競技をする意味すら無いわけで、ああいう状態を続けさせたことは大きな判断ミスだと思う。

結局は骨折していて膝の手術をするらしいけれど、これで選手生命が終わるようなことになったらどうするんだろうか。それに、たすきリレー後に膝から下の部分が映像に一寸見えたけれど、もうボロボロで、物理的な怪我以外にも、感染症とかの心配もありますよね。個人的には、あの状態を見過ごして、棄権させるのでは無く最後まで続行させたのは、運営側の大きなミスだと思う。そういう部分をちゃんと出来ないと、先日始まった日本版NCAAにしても、東京2020を睨んだ競技育成にしても、変な方向にしか進まないと思う。

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