2017年8月9日

人任せのメディア

台風被害で濁流が流れる様子を撮影したビデオを、一般の人がtwitterに公開していたところ、メディア各社からその使用許諾をお願いする連絡が来たらしいけれど、その中のフジ系列「特ダネ」担当者から、8:00の放送に間に合わないので7:30までに返事がなければ使用許諾されたと理解して使用したい、と言うとんでもない内容まで来たらしい。今では、視聴者が自ら撮影した画像やビデオをメディアに売り込み・提供する場合も有るけれど、最近では逆にメディア側がそういう視聴者の映像などを探して利用する機会の方が多い気がします。ある意味節操が無い気がするけれど、これだけ個人撮影・自撮りとネットが発達してくると、不特定多数の視聴者の方が、画質とか内容は多少劣っても、決定的な瞬間とかネタになる内容といういみでは母集団が大きいから当たりも多いのかも。でも、それってメディアが楽をしようとしているとも感じられるは無しでは。

これでふと思いだしたのが、最近のニュースショーとかワイドショーで普通に行われる、新聞各紙を並べての一面記事とか重要記事の比較。個人的に記憶している限りでは、もう30年以上も前のテレビ朝日系列で朝放送されていた「やじうま新聞」が、この手の各紙比較形式の始まりじゃ無かったかと思うんですが、それまでは新聞紙名を利用するにしても、日テレなら読売、TBSなら毎日と、自社系列の新聞社の紙面を利用して、他社を利用することはほとんど無かったんじゃ無いかと。唯一例外は、スポーツ紙を並べて前日のプロ野球の結果とか放送していたかもしれない。でも当時はどの局も巨人戦の話ししかしない時代だったから、スポーツ紙を並べるのはよほど大きな試合とかイベントの時だけだったような。いずれにしても、今ではデフォルト当たり前のように行われている新聞各紙を並べる方法って、昔はなかったはず。それがやじうま新聞が成功したからか、段々と他所の放送局でもやるようになり、今では当たり前の演出に。あれって、系列紙であっても、著作権とかどう言う扱いになるんだろうか。まぁ、一部広告枠など隠している場合も有るので、それなりに放送局と新聞社で了解しているのだとは思うけれど。

で、アレって、結局系列紙が逃した記事でも他紙でフォロー出来るから、利用する側としては楽になるし、極端な話しその日の朝に新聞各紙を並べてピックアップすれば、取材活動の半分以上終わっているようなものでは。つまりとても効率よく話題となるニュースをピックアップ出来るので、番組作りの効率化に繋がる。個人的には、それって系列紙に対しての失礼に当たると思うし、当然自分達とは異なる指向・方向性の話しをどうするのかという偏りを生む原因にもなると思うので、結構禁じ手だと思うんだけれど。それがさらにネットに拡大してるのが、今回の勝手に使用許諾みたいな話しだと思うし、情報収集をネットで完結させる今のスタイルじゃ無いかという気がしています。ネットで話題を探す集めるのは良いと思う。でも、それはあくまでとっかかりであって、本来はその番組なり放送局なりメディアなりがちゃんと取材して「自分の言葉」で放送・報道するべきだと思う。だから、メディアの役割として「伝えること」ではなく「知らせること」がメインになり、それって結局は自分が目に付いたものをそのまま右から左に移動させることが「メディア」だと勘違いする最大の要因じゃ無いかと。本来なら、目に入っても流す、目に入る前に捕まえる、流しても再度追いかける、色々なことをやって自分なりにまとめるべき「記事」が、そんなことを全く感じさせない単なる「感想文」でおわっているわけですから。

自分の仕事の中でも、昔は自分の手を動かして物作りしていたものが、どんどんオフショアとかOEM/ODMでコストダウンするために、自分の仕事はPMと言えば聞こえがいいけれど、雑用と受入検査だけみたいな感じになりつつあります。それはそれで楽と言えないこともないけれど、結局ちゃんと相手の進捗管理をしないといたいしっぺ返しを受けるし、相手と同等以上の知識と技術力が無いと、相手が作ってきたものがちゃんとこちらの要求仕様に当てはまっているかの確認も出来ない。結局は、楽をするためのOEM/ODMが一番大変という事にもなりかねないんですが。今のメディアって、そういうOEM/ODM任せで、出てきた物をそのまま出している、OEM/ODMにとって「使いやすいPM」的存在になっているように感じますね。ちゃんとミスを指摘する、必要な事はどんどん言う、厳しい事もバンバン言うけれど、達成した時にはそれ相応に相手を誉めることも忘れない。そういう出来るPMだと、OEM/ODMも最初は嫌うけれど、そのうちゃんとこちらが言う前に相手も対応するようになり、結局はそれはこちらの利益でもあるけれど、相手にとっても品質向上とか開発製造効率の向上という彼らの利益にも繋がるから、最終的には双方満足いく製品が作られるようになります。そう言う意味で、今のメディア一般の記事とか報道姿勢というのは、OEM/ODMを利用すれば簡単に安いそこそこの製品ができて儲かる、みたいな安易な考えで失敗するメーカーそっくりだなと思うわけです。まぁ、そういうところはとっとと失敗して撤退・破算してくれた方が、こちらの方は仕事はやりやすいのだけれど。人任せ、他人任せの姿勢からは何も良いものは生まれなくて、人材を探して他人を上手く使う事が今の時代に一番必要なことだと思う。

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