何年か前に鳴り物入りで開設された「法科大学院」。今回、立教大学と桐蔭横浜大学で来年度からの学生募集を停止するというニュース。立教大学の停止は、東京六大学では初めてらしいけれど、最初74校からスタートした法科大学院は、現在では半分近い34校が募集停止や廃校になっているらしい。当時は確か、優秀な弁護士や裁判官を養成して、冤罪を防いだりよりスピーディーで公平な裁判をするという米子とが言われて期待されて始まった「法科大学院」だったと記憶しているんですが、確かスタート当初からそれ程の人気では無くて、最初から定員割れを起こした学校もあったように思います。
少子化の影響で、雨後の竹の子のように増えた大学などの高等教育機関もそうだし高校なども厳しい生存競争にさらされている今、単に有名な学部だから学校だからで教育ビジネスが出来るほど甘くないのは事実。一方で、それは全体的に見ては正しいかもしれないけれど、それでもなかなか必要な裁判や弁護を得られない人も多いわけで、そう言う歪みや偏在は常に存在するもの。それをどの様に是正していくかという事は、余り考えられていない気がします。今回の加計学園の獣医学部新設にしても、地域的な偏在や職種的な偏りが赤らかに出ているのに、50年以上も学部の増設は無い状態が続きます。ただ、獣医師数は増えていることは事実で、既存学部も定員を増やすなどの努力はしたんだと思うけれど、仮に人数的に足りていたとしても地域的な偏在が解消されていないなら、それはそれで対策が必要では。今回の加計学園の件も、今治市や愛媛県が申請で述べている新設理由に、最近富みに聞くようになった鳥インフルエンザとか口蹄疫などの疫病関連の対策や、それに対してのバイオ研究のようなことが説明されているけれど、それは凄く理に適っていると思うし、必要性も感じること。仮に地元で手当て出来ない、許諾されないのであれば、既存の獣医畜産学部からその為の人材を今治市なりに融通してくれるのだろうか。また、今回は京都産業大学も申請したけれど、途中から条件が変更されて加計学園一つに絞られたのは不正だというのであれば、元に戻して京都産業大学も認可したら良いんじゃ無いだろうか。多分日本獣医学会は猛反対するだろうけど(笑)。
法科系大学は増えすぎて衰退していくし、獣医学部は十分と言われてしまう。多分、今のところ安泰と思われている理工学部系だって何年か先は分からないだろうと思うけれど、それも世の中の流れをどれだけ先を読んで先手を打てるかという事なんですよね。獣医学部見たいな、ある意味特殊なエリアなら、一度作られた既得権益を兎に角守るだけでも生存していけるのかもしれないけれど、それだって永遠に続くわけじゃ無い。そう言う日って先をどれだけ確実に読み込んで実行出来るかは、何も大学だけじゃ無くて企業でも必要な能力だけれど、なかなか既にそれなりの規模なり基盤が出来ていると変化することは難しい。だから、ちょっとやる気のあるベンチャーなんかが登場して一発当たると、例えば今のLINEみたいにあっと言う間にマーケットを創造して占有して拡大して一人勝ちみたいな事も起こるわけです。若しかしたら加計学園の獣医学部もそんな可能性があったかもしれない。そう言う予想もしない変化が「新陳代謝」であり「覚醒」でもあると思うんですよね。既存の組織がゆっくりと変化していくことも重要だけれど、何かそれまでに無かったことをやってみることも重要。それが何故か今回は許されずにいるのに、既存組織の拡張を目指した法科大学院はゆっくりと衰退していくことは、何か反面教師を見ているような気がしますね。今加計学園問題を政治の介入だとか一強の独断みたいな事を言っている人達は、そう言う気概を持とうと言う気は無いんでしょうね。
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