2017年5月22日

機会の提供

国際政治学者、三浦瑠璃氏のコラムから、教育無償化と加計学園問題について。彼女の発言を聞いていると、自分の思うところ・考えとかなり似ているという事もありますが、その発言内容の組み立て方というか内容説明がちゃんとロジックとして理解出来る(賛成か反対かは別にして)、ちゃんと自説を説明出来能力のある人、と言う意味で信頼している論客の一人。で、この家計問題関連で大学無償化の話も含めて考えると、なかなか興味深い内容に感じられます。

加計学園の問題がクローズアップされてきた時、「足りている獣医師」という話を始めて聞き、そんなものかなと最初は思ったんですが、実は我々が直ぐ思い浮かぶ「ペットのお医者さん」という部分以外にも、畜産業に関わる医者といういみでも、獣医師という資格は必要なんですよね。そう言う人達も含めて、足りているのかというのはよく分からない。その「足りている」という獣医師会側の意見が「必要十分」なのか「過剰」なのかによっても意見は変わってくるところだろうし。また、今回問題になっていることの一つに「地域偏在」という事もあります。全国的に医師数が足りていても、実際には関東とか北海道とか、そう言う地域に集中しているので、九州とか四国とか、そこそこ畜産業が盛んで需要もあるのに、必要な医師の数を満足していない、ということは有るでしょう。そう言う地域分布も含めて、足りない地域、足りている地域、過剰な地域、ちゃんと認識した上で、さらに追加の獣医学部が必要なのか不要なのか、あるいは既存の学部の定員を調整することで解決出来ないのか、そう言う話がある意味タブーのように聞こえてこないのが実は不思議です。

三浦市のコラムで面白いと思ったのは、政府は量の充実ではなく品質の充実に責任を負うべきと言う最後の部分。その按配をどの様に政府や政治がさじ加減していくかは、これも難しい話だと思うけれど、基本的には「ルールは厳格に作り、運用は弾力的に」というのが一つの解決策かなと言う気がします。ちゃんとしたルールや目標設定は厳格にやって、それにそぐわない場合は採用しないくらいの厳しさを持って始めさせ、実際にスタートした後は、それが良い方向に向くのであれば、運用に関しては弾力的に適用する。まぁ、それが「特区」と言えばそうなんですけどね。

問題なのは、そう言う手続きには時間が掛かるものだし、また世の中の変化も知らない間にゆっくり変わることもあれば急激に目の前に現れることもある。その為に、どうしても後手後手に回りがちな事だけに、外から見ていると何か利湯があって特別な事をやっているんじゃ無いのかという勘ぐりも生まれやすいような。そう言う外から見えることだけを根拠に意見を言うのでは無く、その背景は勿論履歴もちゃんと理解した上で是非を言うなり、問題点を指摘するなり、建設的な方向に進む分には、それが自分が希望するのとは反対方向であっても納得するものの、今は政府のやることは何でも反対と言うだけで、一つの仕事が成り立っているからなぁ。全ての人が、この三浦瑠璃氏のようになれとは言わないけれど、攻めて彼女の1/10、1/100位の理性を持ってお互いに話が出来たら、今の社会も10倍、20倍も良くなると思うんだけれど。

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