PCWatchの記事から、指先くらいの集積回路をトランジスターで組み「見える化」した話。今では、集積回路を組む場合は、コンピューター上で回路をシミュレーションして君で、そのまま製造用のデータが出力されるのだと思いますが、昔は実際にTTLで回路を組んで、それで動作確認してから製造メーカーに発注していました。だから、私が入社した頃には次に使う製品の集積回路(IC)の回路を、畳くらいの大きさのボードに組んで、其処に色々な入力信号を入れて出力を見たり、回路を切り替えたり、所謂ブラックボックステストを何日も繰り返して、問題があるとそれをレポートして回路修正をしたりしていましたねぇ。
問題は二つ。一つはTTL(Transistor-Transistor Logic)を組み合わせるので、各短詩を決戦しないといけないけれど、それは黄色い配線用の信号線で繋いでいきます。その色から「yellow wire」と読んでいたけれど、端子に半田付けするわけでは無くて、ラッピングドリルで端子に巻き付けて圧着させることで通電させるんですよね。これが時々緩んで動作不安定になったり断線したりする。さらに、黄色の線なので接続が入れ子になったりして間違って結線することも多数。これが一つ目の問題。
もう一つがタイミングの問題で、実際にIC化されると数mm程度のサイズ上に全ての回路が組み込まれるんですが、TTLで組むとその何千倍、何万倍もの大きさになるため、信号の遅延が実際のICよりもかなり大きくなり、タイミングに依存したところなどは完全には確認出来ないことも。実際、TTLでは問題無くてもIC化すると信号が同期できないとか、タイミングが合わずにレジスターに設定されないとか、もう色々ありました。後は、大きいが故に外部のノイズを拾って動作が不安定になったり、逆にTTLの時は信号線が離れているので問題無かったのが、IC化して集約されると隣りの信号が影響をして動作不安定になったり、もう大変。ただ、私はソフト関係の人間でしたが、こう言うものと付き合うことでなんとなくハードの基本的な事も自然に学べたし、その当時はまだアセンブラーでプログラミングすることもあったので、その時にはなんとなくシステム内の動作が頭に浮かぶような感じになりました。そろばんで暗算する人が、頭の中にそろばんを置いて計算するようなものかな。
最近では、もうICを組み合わせてボードを作成するから、チップのデザインとは別にマザーボード、機能ボードの設計がほとんどになっていると思うけれど、それにしてもメーカーからレファレンスボードがでてくるから、それを自分達の製品用に小型化したり周辺回路を追加する程度。ただ、その場合でも例えばアースを効率的にどの様に設置するとか、信号品質を維持するためにどう言う配線にするか、結構ノウハウが必要な仕事でも有るんですよね。そんなときに、こう言う記事のような経験があるとかなり違うと思うなぁ。最近の回路設計では、コンピューター上でのリアルタイムシミュレーションだけでなく、回路の設計にしても高級言語みたいな形で機能定義すると、本来製造するべき回路が出力されるシステムも随分昔から有るみたいで、ある意味ソフトもハードもプログラミング次第の時代になっているんだなと感心したことがあります。それならそれで、やはり基本的な部分、一番ベーシックな部分のことを知っているのと知らないのでは、やはり最終成果物に対しての品質って差が生まれると思うんですよね。それが最近のエンジニアの弱みかなという気もします。何て言うか、それが自分の持っているスキルに対しての「余地・余裕」みたいなものじゃ無いだろうか。
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