2017年3月26日

忖度

もしかしたら、今年の流行語大賞になるかもしれない「忖度(そんたく)」という言葉。「相手の気持ちや意向を推し量ること」と言う意味ですが、よく言えば「あ・うんの呼吸」とか「空気を読む」というのか。悪い意味で使えば、「機嫌を取る」とか「贔屓する」みたいな感じだろうか。

で、今問題になっているのは、昭恵夫人の付き人(本来の意味での付き人というよりは、婦人好きのスタッフ、と言った方がいいのか)宛に送られた、籠池夫人から小学校開設に対しての支援依頼に対して、回答したFAXの内容が結果的に財務相が「忖度」した事になるのでは無いかという話。正直、こんなの色々な会社同士でビジネスをしていれば何度もある話。特に、こちらにやる気の無いビジネスやプランを持ってこられたときに体よく断るときにする回答のテンプレート的な物。

FAXの一枚目に関しては、努力したけれどご希望には添えないと相手の依頼を断り、ただ其処でけんもほろろに断ると後々の関係に問題が生じてはいけないので、何らかの余地も残した柔らかい回答の典型でしょう。さらに、一部ではFAX二枚目の財務相からの回答が問題と言っているけれど、これ、返信の中で「問い合わせたが駄目だった」という言葉だけだと、「何処がどう駄目だったのか、何か余地は無いのか」と次に繋がってしまう可能性が生まれるので、もうこれ以上問合せして欲しくないときには、それなりの理由説明を付ける物。今回は、一応この女性スタッフの人がちゃんと問い合わせて、結果駄目だった証拠がこの2枚目に書かれているわけで、ビジネスマナーから言えば完璧な内容。

で、多分この内容に関して昭恵夫人は関わっていないのでは。理由は、元々の籠池夫人からの手紙は、この秘書的立場の谷氏に送られていたものだし、それに対して彼女が通常の他の同様の問合せと同じように関係部門に問い合わせて返信を準備して返送したもの。で、そのFAXの最後に、
引き続き、当方としても見守ってまいりたいと思いますので、何かございましたらご教示ください。なお、本件は昭恵夫人にもすでに報告させていただいております。
と書かれていることで、昭恵夫人の関与を野党が責めているけれど、「当方」というのが先ず微妙。これが、昭恵氏宛に送られた支援依頼でそれに対しての返信なら「当方」とは元々の差出人である昭恵氏という可能性が高くなるけれど、これは谷氏宛の依頼に対しての返信だから「当方=谷氏」と考えるのが妥当じゃ無いかと。しかもその後で、「本件は昭恵夫人にも既に報告させていただいております」と書いてあるので、昭恵氏の指示で動いたのでは無く、この谷氏が処理をしてその結果を報告しているという意味。これ、政治家がよくやる手ですよね。万が一のことを想定して、政治家本人では無く秘書が処理して、仮に何かトラブルがあったら秘書が責任を被る、上手くいけば政治家の手柄になる、という。もっとも、何処かの女性議員は公設秘書のガソリンプリカの責任を一切取っていないけれど、それは別の話か(をぃ)。

で、これが「昭恵夫人という名前で担当者が忖度した、責任問題だ」と言っているけれど、忖度するのは担当者側の責任なわけで、それで罰せられるとしたら忖度した担当者側では。昭恵氏からその担当者に「忖度しなさい」と言ってしまえば、それは忖度ではなく利益誘導になるわけで、それは全く別の話。それがでない以上、昭恵氏の行動はもっと慎重であるべきと思うけれど、貴重な国会の時間を潰してまでする話しじゃ無いだろう。

個人的に不思議に思うのは、鳩山首相時代、彼の奥さんもかなり目立っていて色々な場所で「活躍」していたけれど、忖度とか安請け合いとか何も無かったのだろうか。調べてみたら、今回よりももっと生々しい話が出てきそうな気がするんだけど...

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