2017年2月5日

Mad Dog

来日していたマティス国防長官。現役時代の愛称が"Mad Dog"と言う事で、新聞各紙には「『狂犬』マティス来日」みたいな過激な見出しが躍っていたけれど、「狂犬」というのはどうだろうか。「猛犬」という方が正しいような気がする。

確かに直訳すれば"Mad Dog"=「狂犬」と言うのが一般的な解釈だけれど、その使い方のTPOに寄って色々な意味が隠されるのが「言葉」。この場合も、「狂犬」から想像されるような、狂犬病にかかったような手が付けられないような病気の犬というよりは、闘犬の横綱犬みたいな逞しく強い犬という「猛犬」というような意味の方が正しいでしょうね。その「猛犬」にしても、例えば口から泡を吹いているような写真に「猛犬」と添えられると、「狂犬」「病犬」見たいなマイナスなイメージしか受けないけれど、闘犬の横綱犬の優勝したときの写真に「猛犬」と添えられると、プラスの強いイメージを受けるのと同じ。大体海兵隊のトップになったような大将に対して悪口をわざわざニックネームとして付けるわけも無いだろうし。それに今回映像で見るマティス国防長官は、凄くスマートな印象を受けるわけで、やり手のビジネスマンと言われても納得しそう。多分彼の中の「静と動」の内の「静」の部分が今の彼の表に見えるところなんでしょう。それって、今回の人事以前に彼が辿ってきた管理者、指揮者としての立場が大きく影響している気がします。

で、今回感じるのは日本人として不得手な二つのこと。一つは"Mad Dog"のようなニックネームという背景を持たないので、その処理に困る事。これ、アメリカに仕事で行くときも、ニックネームしか呼ばれなくて本名が分からない何て言うことも時々あります。日本人でも、渾名とか異名みたいな事はあるけれど、渾名はよほど親しいかよほど嫌みで無いと面と向かっては言わないし、異名もどちらかというと有名な人に後から付ける印象だし。で、二つ目は、英語を直訳してしまうこと。英語も言葉である以上、表の意味と裏の意味、歴史的社会的背景から含まれる意味とか色々あるもの。そういう意味って、なかなか知らない人がましてや母国語で無い人が理解して行くのは難しいけれど、でも今回のような場合は一国の軍事責任者になる人が(其れ以前にも責任ある地位に就いていた人が)、「狂犬」なんていう渾名を付けられるかどうかと言う素朴な疑問は先ず浮かぶはずで、そうなれば別の裏の意味と言うかプラスの意味で探れば、日本語にしてもおかしな印象を受けない言葉が見つかったはずなんだけど。日本でも英語の早期教育や会社での公用語として使うことが進められているけれど、単に日本語を英単語に置き換えるだけならまだしも、ビジネスツールとして使う、向こうで生活するときに困らないように覚えるのであれば、言葉の語いや文法と同じくらい文化的社会的背景とか、そこから生まれた言葉特にイディオムをちゃんと覚えて使えるようにならないと、本当の意味で「英語」は話せないと思う。だからこそ、出来るだけ向こうの社会とか組織で生活して使わないと、なかなか本当の意味で使える英語は身につかないと感じますね。自分も、一時期はかなりそういう環境に使っていて、それなりに力は付いたと思うけれど、そう言う機会から離れるとどんどん希釈化していくわけで、それだけは何とか持ち直したいと思うのだけれど。

閑話休題。ある意味今回の「狂犬」報道で、日本のメディアの力がある程度明らかになってしまったのでは。で、この期に及んでも「狂犬」を使い続けているメディアというのは、もしかしたら別の意図があって敢えてその言葉を使い続けているのかもしれない。

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