2017年1月6日

指標の作為

産経新聞に掲載されている、沖縄の県民所得が全国最下位となる理由この記事だけ読むと、沖縄県が基地問題を有利に利用するために、意図的に県民所得を低く見せているように聞こえるんですが、幾つか疑問が。

  1. 何故、高知県と沖縄では統計方法が異なるのか。また、それは他の都道府県ではどうなのか。
  2. 何故、統一的な指標で比較しないのか。全国的な傾向を知る上で異なる方法を許している理由は?
  3. 沖縄県は、最下位を脱出した平成22年度から方法を変更したと記事では書いているが、その理由は何故なのか。基地問題対応で経済的に苦境に有る事を維持したいと記事には書かれているが、それは裏付けのある話なのか。
特に、高知県の方法というのが、他の都道府県でも使われている標準的な方法なのかすら分からない。高知方式が、これも何か特別な方法なのか、それとも多少は違いはあるにしても、沖縄方式よりも全国の標準的な方法に近いのか、それ位の情報は説明して欲しい。でないと、これでは沖縄が一方的に悪いみたいな印象しか受けないですよね。また、記事の中では沖縄は最下位だけれど、高知方式で計算すると全国28位になると説明しているけれど、それなら統一した方式で全国の都道府県の比較が出来るはずなのに、国がそれをせずに沖縄方式の値を使用している理由も不明。一人当たりの県民所得が203万円から266万円と、1.3倍も違うのは、比較指標として不適切では。県民所得だけで無く、県内総生産も3.8兆円が4.7兆円と一兆円近く違うというのも、変な話だと普通は感じるのでは。

例えば沖縄の特殊性として、他の都道府県は陸路で接続しているけれど、沖縄県だけは唯一空路と海路しか無いので、輸送費に関しては何か特別な重み付けが必要という理由はあるかもしれない。ただ、それってあくまで想像なだけで本当の理由は分からない。陸路は無いかもしれないけれど、那覇空港は24時間空港で、地勢的なものを考えても他の地方空港と比べても有利な点も多いわけで、それは逆にプラスマイナスでプラスになるかもしれない。あるいは、米軍関係の仕事を入れる・入れないという話だとすると、また一寸違う説明が必要かもしれない。

少し前に、東京新聞が数値比較を視覚比較に変更して誤認識させるような記事を掲載して、読者に誤解させるような情報を与えたりしていましたが、情報提供することが仕事である新聞社が、間違ってもやっちゃいけないことですよね。産経新聞の記事は舌足らずだけれど、東京新聞は意図的な点でより不適切と思うけれど、どちらもメディアとして読者が誤解するような記事を掲載しているという点では、同罪でしょう。昔なら、我々はそう言うメディアからしか情報を得ることが出来なかったけれど、その分新聞の記事の信頼性もそれなりに高かったもの。しかし今現在は、ネットから幾らでも情報が得られるようになった半面、本来情報の基幹組織として信頼性を担保しないといけない存在なのに、その役目を果たしていない、果たせないという事をもっと真剣に危惧するべきじゃ無いだろうか。

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