米国の大統領選挙。戦前のメディア予想を覆して、トランプ氏が勝利。私も、正直なところ序盤の票はトランプ氏に流れるものの、徐々にクリントン氏が追い上げて、最後にカリフォルニアの55票で勝負あった、となるシナリオを描いていましたが、外れてしまいましたね。カリフォルニアはクリントン氏が取ったけれど、そこでもまだ勝負は決まらず、結果的には同じく大票田のフロリダを落としたのが痛かったような気がします。
昨日は朝からCNNにチャンネルを合わせて仕事をしながら選挙速報特番をずっと見ていましたが、解説者やゲストは殆どクリントン支持の様子で、序盤は余裕もあったけれど、段々と「いゃ、こんな訳が無い」みたいな雰囲気が伝わってきました。CNNでは、州毎の得票の様子を、さらに群(County)単位に分けて赤対青の色分けをしていたけれど、接戦州でも見事に都市部は青(クリントン=民主党)なのに、それ以外の場所は真っ赤(トランプ=共和党)。かなり接戦だったフロリダの様子を、私が見ている時には詳しく解説していたけれど、一時クリントン氏がリードしたけれど、その後トランプ氏が逆転し始めると、MCの男性が「違うじゃ無い」みたいな事を言うと、解説の男性が「いゃ、都市部はまだ票が残っていて、前回もこれからオバマ(=民主党)が票を伸ばして」と説明しているんですが、その票が伸びない。最後の方は、何かもう説明にも力が無くなっていて、可哀想に感じる位。
で、私は知らなかったんですが、選挙前の8月位に、俳優兼映画監督のクリント・イーストウッド氏が、こんなことを言っていたんですね。実は数日前に、日本のテレビ局が選挙戦中継のために自社のアナウンサーやキャスターを送り込んでいて、彼らの多くがトランプ氏の暴言というか、特にヒスパニック系とか不法移民系の人にインタビューをしていたんですが、彼らが期待していただろう「トランプの差別発言には反対だ」という意見では無く、自分達の今の生活を守るために、それを社会的な評価や賃金的に脅かす新たな「移民」に反対するから、トランプ氏に対して好意的というよりも、自分を守るためにトランプ氏の政策を指示するというような、敵の敵は味方みたいな話をしていて「へぇー」と驚きました。
もう一つ、やはり数日前に読んだ渡辺由加里氏の貧困白人層がトランプ氏を支持する理由に関してのコラムも感慨深いものでした。比較的焦点が当てられるマイノリティーでもなく、優遇されるマジョリティーでもない、隠れたマジョリティー集団というか、これまでの「声なき集団」がトランプ氏の発言に支持を与えることで、自分達の存在意義とも言うべきものを見いだしたと言ったら良いのか。私もそれなりにアメリカで仕事をして生活もしているので、何となく向こうの社会の印象に関しては多少は知っているけれど、これまで色々な意味で我慢をしてきた人達が、「自分一人くらい気持ちを代弁してくれているトランプに入れても許されるだろう」と思って一票を入れたら、回りみんな入れていた見たい話なんでしょうね。先日の、英国のEU離脱選挙と同じ集団心理が生まれたと言われているけれど、でもやっぱり根底にはこれまで我慢してきた不満や不平があると思う。
ただ、日本でそれが起こった6年前の民主党躍進も、結果的には大失敗だったわけで、来年から始まるトランプ大統領の4年間がどうなるのか不安も大きい。これまでは、言いたい放題、放言をすればするほど人気は上がったけれど、これからは実行を伴う地位になるわけで、同じ言葉を発してもこれまでとは違った重みや意味を持つはず。それが命取りにならなければ良いのだけれど。まぁ、個人的予想とは逆に、上下院議会も共和党が躍進して、ねじれ状態は解消したけれど、それでも身内からも支援を拒否された大統領が、これから議会同仕事をしていくのか、ある意味興味深いですね。変に意趣返しとかしなきゃ良いけれど... いずれにしても、日本も色々大変な時代になりそう。
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