先日、TPPによる日本の農業に対する影響みたいな小特集の番組をたまたま見ていたんですが、この時の内容が生き残るためには今まで通りの農業では駄目で、逆にTPPを利用して外に打って出る、みたいなこの手の特集では珍しく前向きな話の内容でした。この手の特集にありがちな、希少性の高い、高価格帯の農作物を作る農業ではなく、お米の話だったのでますますちょっと意外でした。
うろ覚えですが、一つは地方のJA組織が、単独で地域とタッグを組んでコストダウンと効率化を進めていって、全国から見学者が絶えないというような話。またある農家ではは、JAに依存せずに自分で効率化を進めて、例えば農薬などはJAではなくもっと安く購入出来るホームセンターを利用するとか、既存の農業でもやりようによっては、まだまだ可能性があることを見せてくれていました。
これらの話を聞いてみて思うのは、もう20年以上前にバブルが弾けて自分達の会社が遭遇したリストラ、効率化の時と同じだなぁと言う事。コストダウンのために、それまでの内製100%からOEM/ODMを利用したり、製品デザインにしても重複する物、無駄な物を排除して、台数は出ないけれど会社としてのシンボル的な製品、薄利多売でもシェアと利益を最大化できる売れ筋商品、ニッチ市場でも利益が大きい書品、というような選択集中をすることで、何とか今でも生き残っているけれど、まさに農業はその時代では。
国内市場は飽和しているなら、やはり外に出ていくしか無い。だから、付加価値の高い製品を作って海外に売り出すことは一番今のところ成功の確率は高いでしょう。幸いなことに、普通に日本で売れる製品ならば、それはそのまま海外では高級品として通用する物が多いから、特に新しく開発する必要も少ないし。問題は物流でしょうけど、今では航空便も発達しているし、逆にあれだけ批判を浴びて全国に展開されている地方空港を上手く利用したら、凄く効率的な物流が構成できる気がするんだけど。
で、そうやって国内の農家の淘汰はある程度覚悟しないといけないけれど、それによって国内農家が整理されれば、国内の農業市場も古代規模化と効率化を進めることで、コストダウンしていけば、ライバルが減った分残存者利益が望めます。大規模化や効率化は、何も中小の農家を潰さなくても、仮想的に大規模化していくことも可能だと思うんですよね。農薬の共同購入に、農機具の共同利用。それこそ、今のJAが本腰を入れて取り組んだら、凄く良いシステムになりそうな気がするけれど、結局はJAとしては旧来の農家の保護にしか興味が無いから駄目なんだろうな。別の高齢者の仕事を奪えとは言わないけれど、ある程度農家にも「定年」があっても良いんじゃ無いかと。昔と違って、死ぬまで食べ物を作り続けないと食べていけないと言う時代では無いし、そういう人にはJAが年金を渡す代わりに土地はJAが譲り受けて、それを若い農業従事者に提供して新しい農業をする基盤を作るとか。定年した高齢農家は、技術指導員としての雇用機会もあるだろうし。国内の農業基盤の効率化を進めることも忘れずに整備出来れば、単に外敵のTPPにとか言うことも無くなるだろうし。
どんな仕事でも同様だと思うけれど、まずはその仕事を極めるくらいの技術が無いと食べていけない。で、仮にそれだけの技能を身につけても、時代の変化に対応していけないと、さらに成長も存在も無い。技術や商業の世界はどんどんそういう社会システムに対応して言っているけれど、農業だけは幸か不幸か旧態依然の仕組みがまだ残ってしまったのでここまで来たけれど、それはもう通用しない。ここまで残してしまったJAの罪滅ぼしとして、JA自体が変わることを覚悟しないともう駄目なんじゃ無いだろうか。個人的には、凄くビジネスチャンスのある世界だと思うんだけど、農業は。
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