2016年7月11日

3分の2

今回の参議院選挙では「改憲」が野党によってフレームアップされ、与党に3分の2を取らせないというのが一つのスローガンのようになっていました。でも、これってちょっと卑怯というか誤解を誘導するような言い方で有り、衆参両議会で3分の2の賛成があれば、憲法改正の発議が出来る、だけ。それで憲法が改正されるわけではない。その発議が3分の2以上の賛成で可決さると、初めてその内容が国民投票に訴えることが出来、そこで過半数の賛成があれば初めて「改憲」することが可能になると言う事。つまりは、最後に決めるのは国民であるはずなのに、あたかもこの選挙でそれが決まるような言い方をしているわけですよね。別の言い方をすると、彼ら野党は国民の判断を信じていないと言うことにもなります。

例えば消費税の税率アップとか、あるいはTPP等は、そういう国民投票で決まるわけじゃありません。それらは「法律」なので、国民の代表として選択された国会議員が決めて終わり。だからこちらこそ「この選挙で負ければ消費税が10%に上がる」というような言い方は、ある意味正しい。そこには、間接的な国民の賛成・反対の意思表示は可能だけれど、直接的に意思表示する機会は無いわけですよね。でも、憲法改正には、あるいは非改正には、国民が直接投票することが求められているわけです。

今回、野党が強いて「3分の2」という言い方を強調するのであれば、憲法が改正される、のではなく、好きなように憲法解釈をして改憲の発議が出来てしまう、と言う言い方をすれば、ちょっと待てよと思う人もでたのでは。つまり、与党が自分達の好きなように改正するために、好き勝手言い出しますよ、その中には良いこともあるかもしれないけれど、悪いこともあるかもしれませんよ、と言うような言い方をすれば「一寸待てよ」と思うかも。もっとも、そういう言い方をすると、そんなに改正に賛成で無い人までもが、じゃ一度考えてみるかとやぶ蛇になる可能性も大きいわけで、だから敢えて言わないのかもしれませんが。

実際に憲法を改正するかどうかは別にして、本当に今のままで良いのか、今のままの表現で誤解無く解釈できるのか、日本の石が変わらなくても回りの変化に対して適切な内容になっているのか、そういう疑問を持ち見直すことはとても重要なのでは。例えば護憲派の代表共産党は天皇制を否定しているわけで、それなら彼らは憲法を改正して天皇制を廃止しないといけない。でも時期的に拙いと思えば、天皇制は当面継承するとか、都合の良い話をするわけです。彼らとしては、何時何時までに天皇制を廃止して、代わりにこう言う組織や地域を付く伝という青写真はあるはずで、でもそれを表に出してしまうと「護憲派」の旗を降ろさなきゃいけなくなるから、敢えて曖昧なことしか言わない。それって、彼らが非難している安全法案の話と何が違うのだろうか。

私は、まず最初に手を付けるだろう改正発議(96条)の3分の2を、少なくとも過半数位迄ハードルを下げるべきだと思う。そして、逆に国民投票の閾値を過半数から3分の2(66%)に上げても良いと思う。本当に憲法が大切なものであるなら、はやり最後に決める国民の意思というものを最大限に尊重すべきでは。その時に、賛成50.01%、反対49.99%で決着が付くのでは、納得できないと思う。少なくとも賛成が67%、反対が33%という比率まで開くのであれば、多数の意見を総意として判断するに足るのではないだろうか。今回の選挙結果を強いて言えば、3分の2に関して軽々しく扱いすぎた、特に野党の共産党の失策じゃないかと個人的には思う。

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