2016年6月9日

隠れたスキル

B-CASカードを使わずに、スクランブル放送を視聴できるようなプログラムを開発・配布したとして17歳の無職の少年が逮捕されたという記事。不謹慎と叱られることを承知で言えば、日本政府とか自衛隊は、この少年を特別技術者として好待遇で採用し、是非その実力を正しい方向に向けて大いに延ばすべきだよね。それを条件に、今回の違法行為を相殺しても良いくらい。

分かっているのはこの記事に欠かれている内容だけなので、どの様な形でどの様な内容のプログラムが配布されて、それがどの様に動作しているか全く分からないけれど、B-CAS無しでスクランブル放送を視聴できると言う事は、少なくとも、

  1. B-CASカードの未挿入をオーバーライドする
  2. B-CASカードが個別に持っているカード情報と同等のデータをダミーとして利用出来る、あるいはスキップする
  3. B-CASカード無しでもスクランブル放送がデスクランブルされて正常に視聴できる
  4. B-CASカードを使用するテレビ(あるいは、それ以外のHDDレコーダーとか、STBとかも?)の内部コードを、上記の機能が利用出来るように改変する
と言う、ざっと考えてもかなりハードルが高い四つの障害をクリアーしないといけない。例えば、これがB-CASカードを偽造して、偽B-CASカードを作って挿入して視聴する、と言うなら、ある意味簡単だと思うんですよね。カードのデータフォーマットとデータの焼き方さえ分かれば、カードを作成して挿入するだけだから。でも、そのカード無しで視聴できるようになるというのは、それもプログラミングだけでとなると、ちょっと凄いと思う。

まず最初のB-CASカードのプレゼンスチェックをスキップさせるのが大変だと思う。多分ハードウェアスイッチでステータスを見て、それで「ある・無い」の判断をするんだろうけど、その一番元の確認するところをオーバーライドしないといけないので、かなりマシン語に近いところで内容を知らないと厳しいのでは。一番簡単なのは、カードが未挿入→エラー処理とジャンプする直前でトラップすることですが。

2番目の、B-CAS内部のデータシミュレーションですが、データフォーマットを知っていればそれなりの値は利用出来るだろうけど、何処まで本物と思われるデータストリングを準備出来るのか不思議。また、3番目とも関係するけれど、多分デコード用キーコードを含んでいるだろうから、それをどうやって取りだしてデスクランブルするのかと言うところも、かなりハードルが高そう。

そして一番不思議なのが、4番目のコードの書き換え。もし特定メーカーの特定の機種だけならまだ可能だと思うけれど、どの程度の機種まで対応したのか、それが凄く疑問だし興味が有ります。多分内部コードの更新機能を上手く利用(悪用?)して、コードを書き換えるんだろうけど、それだって結構大変だと思うし。

で、個人的に想像するには、この少年、多分工場での製造時検査とか開発用に多分隠しで仕込まれているだろう特殊な動作モードを利用して、B-CAS無しでも視聴できるようなソフトを作ったのでは無いかと言うこと。実はそういうモードって、作業効率を考えて付属のリモコンなどから特定の操作をすると起動することが出来るようになっていたりして、だから記事では「ソフトウェア」と書いているけれど、その点は曖昧にぼかしているのかも。何らかの方法、あるいは偶然にしてB-CAS関連開発情報を入手しての作成ならちょつと評価は落ちるけれど、仮に独学でそれだけのソフトを開発したとしたら、そのセンスと努力はある意味凄いと賞賛できるかも。まぁ、色々不満はあるだろうけど、社会のルールにはしたがって、その上で既存の不公平とか既得権を打破するようなソフトを作って欲しいですね。

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