ITmedia、窪田順生氏のコラムから、先日の「ショーンK問題」について。いろいろな見方・味方はあると思うけれど、窪田氏がコラム中に書かれている「詐称する人は、その嘘がばれないようにするために腰が低く人当たりが良い」という話は凄く納得できるというか、なるほどと感心する言葉。これが、例えば暫く前に逮捕されたオウム真理教の指名手配犯人あれば、兎に角目立たないように陰に隠れて生活するだろうけれど、どうしてもメデイアや仕事で外に出なければならないけれども自分の経歴や過去には振れられたくないと思えば、相手から疑惑や不信感を持たれないようにするのが一番。でも、その為にはかなりの努力と配慮と根回しと手回しが必要でしょうねぇ。このショーンKさんも、時々テレビで見かけて、そのセクシーなクリスペプラー氏のような魅惑的な声に一寸感心していたけれど、話していることは結構まともだったというか、納得できることも多かったと用に記憶しています。
で、コラムにもあるように、世間的にはその詐称行為を批判する人もあれば、茂木氏のように擁護する人もあるけれど、個人的にはやはり「批判されるべき行為」じゃ無いかと思うわけです。例えば、食品業界で時々話題になる「食品偽装問題」。あれを「勿体ないから仕方が無い」と擁護する人はまずいないと思います。それは人の健康に直接関わることもあるけれど、やはり消費者に対して「この食品はこうです」と販売していたものと違う物を販売していたから、ほとんどの人は怒るわけですよね。この人の場合も、言ってみれば「個人商店」として自分の知識や経験という「情報」を販売していたのに、実はその情報の出所が違っていたかもしれない、言い方を変えれば「産地偽装」とでも言える行為をしたわけですよね。
勿論、MBA取得と経歴に書いてあるからそのMBA取得中の知識しかいってはいけないというわけではないけれど、自らの経験から得た知見と言う意味では、それはそれで自ら調べたり研究したりして得た物であれば正しいのかもしれないけれど、そこに「MBA」という調味料が入っていると期待したから購入(視聴)した人が、実は入ってないと後から言われたら、やはり不審不満を感じるでしょう。例え、そこで喋っている話の内容が、本当にMBAを取得して経済なり市場なりに詳しい専門家の人が話していることと同じであったとしても、そうで無い人が言う場合とは違う情報だと私は思います。言ってみれば、インクジェットプリンターの正規インクタンクと互換インクタンクでは、どちらも同様に印刷出来るけれど、でもやはり別の物というのと同じ話では、と。
このショーンK氏は、最初はやはりその特徴的な魅力的な声質から、ラジオ等で活躍されていたそうですけど、そこで実績を積み上げて、その中で自分が興味を持っていただろう経済とか証券の話をしていれば、時間は掛かったかもしれないけれど、以前のようなポジションを獲得出来たんじゃ無いだろうか。時間を縮めるために、日本人なのに外国人風の名前(「芸名」らしいけれど)を付けたり、後整形疑惑もあるみたいだけれど、学齢詐称も含めて自分の立場を変に飾り立てたのが失敗でしたね。その気持ちは分かるけれど。
ただ、例えは医者のようにその資格を取得するためには特定の学歴が必要な場合を除けば、例えば中卒の人が経済を語っても良いわけだし(当然風当たりは強いだろうけど)、高卒の人がエンジニアリングを語っても良いわけです。メディアなんかは、日頃学歴社会を批判したりしているくせに、こう言う事件が発生すると「学歴詐称」と、さも学歴が何か生きていく内の免許のような言い方をするのが、毎回違和感を感じます。自分自身が売り物で有る「コメンテーター」という個人商店である異常、その商品の産地偽装(=学歴詐称)をしたことは、ビジネスとしては間違いなのは確か。ただ、それを訂正して謝罪した後で、本来の身分でしかし自分がこれまで勝ち得てきた知見や経験をもう一度売り込むことは何の問題も無いはず。勿論世間だって甘くないから、以前よりも厳しい目で見られるだろうし、直ぐには以前のような仕事は出来ないだろうけれど、それは自分が蒔いた種である異常これまで以上に努力して実績と信頼をもう一度ゼロから作り上げていくしか無いわけですからね。そういう意味で、このショーンK氏も含めて、やる気と実力のある人の再挑戦に関しては、厳しいながらも色眼鏡で判断せずに、その内容と実績で評価して上げることが、ご本人取っても、そこから利益をえるだろう我々にとっても一番じゃ無いだろうか。その結果として、本当にMBAの資格を取得出来るかもしれないし、以前は査証していた大学で学位や単位を取れれば、詐称も事実に変わるわけだし。
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