2016年2月6日

鴻海とシャープ

シャープと鴻海の提携交渉。直接的にも間接的にも関係無い立場ですが、所属している組織・会社が、買収される側でも買収する側にもいた経験があるだけに、ちょっと他人事とは思えないところも。金額的にかなり有利な条件を出している鴻海にシャープも傾きかけているみたいだけど、

「鴻海精密工業」と言うよりは、業界的には「Foxconn」と言った方が有名というか馴染みがあり、実際仕事もしたことがある会社。EMS専業メーカーとして、あっと言う間に世界最大規模の企業になったシンデレラ企業でもあるけれど、それだけではいつか新興企業に追い越されるので、着々と技術力を付けようとしている一巻なんでしょうね。支援金や支援条件を見ると、産業際せ支援機構よりも資金は倍だし、従業員の雇用も保障するという好条件の様子。でも、7000億円貰っても、その半分は負債で消えるわけで、手元に残る資金はどちらも同じ。負債を放棄させられる銀行団としては、兎に角お金が戻る鴻海案に乗りたいんでしょうけど、それだけで決めて良いものだろうか。

シャープの社長は、既に堺工場で協業しているので、鴻海傘下に入っても問題無いみたいな事を言っているみたいだけど、協業企業である立場と、参加の子会社になる立場は全く違うと言う事を分かって言っているんだろうか。実際雇用を守ると言っている鴻海会長も、「40歳以下の社員は」とか「出来る人は残す」とか、能力主義を徹底的に取り入れる方針なわけで、これは今の世界的な企業はどこでも同じ。結局は、最初の痛みが支援開始最初に来るか、その後に来るかの違いしかないんですよね。

製造に関してはプロである鴻海が、シャープの開発力・技術力を持てばさらに強固な敬遠システムが構築出来るわけで、これまでのように受託生産と言う受動的な活動から、提案型の開発活動が可能になるわけで、これは今後大きな戦力になるはず。ただ、問題なのは今ある技術を手に入れても直ぐに陳腐化するわけで、その技術をさらに育てられる人材や仕組みがどれだけ準備出来るかでしょうね。韓国のSamsungとかLGEは、日本人技術者を雇用して上手くそういう体制を整えられたと思うけれど、それだって長続きせずに現在では低迷傾向にあるわけですから。鴻海の場合は、軸足が受託製造似あるわけで、どう繋げられるのか興味も有るし厳しさもあるし。

今月中に結論を出すという報道ですが、さてどうなるんでしょうね。技術継承のためにも、日本に残るために産業再生支援機構案に乗って欲しい気もするし、現実の厳しさを知らしめるためにも鴻海傘下に入る事も意味があるように感じるし。いずれにしても、シャープに限らずその他の日本の製造業は、大きな転換期に今来ていることだけは確かですね。

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