2016年1月19日

安全と無駄

CoCo壱番屋の廃棄カツ再販問題は、100%廃棄カツを処分せずに転売した産廃業者の責任と、本来は外部に出ないはずのカツを販売していた販売会社(スーパー)の問題だと思うのに、なぜか無駄な食品を作っているCoCo壱番屋も悪いという話が出てきたりするし、それはシリア難民の食糧難を考えると許しがたいみたいな話まで飛躍している。

確かに日本の食料生産では、食糧自給率が低いと良いながらも、色々な理由で廃棄される食材や食品が多いのも事実。また、世界的に見ても少し神経質な「賞味期限」や「消費期限」設定も、もしかしたらもう少し見直しが必要かもしれない。それは日本の食糧問題であって、その見直し理由としてシリアを初めて世界の食糧不足問題を挙げるのも正しい論争の持っていき方かもしれない。でも、今回の件と結びつけるのはやはりおかしい気がします。

元々今回CoCo壱番館がカツを廃棄したのは、製造時に異物混入した可能性があるわけで、何万と製造した製品から「これ」と特定することが事実上不可能なために、可能性のあるロット全てを廃棄するのは安全管理、品質管理のプロセスとしては当然のこと。そう言う意味で、被害者としてCoCo壱番屋が扱われるのは当然としても、何らかの加害者的な扱われ方をする理由は全くないと思うのに、某知事は社会的責任と言うし。「責任」を追求されるべきは、産業廃棄物は手順通り処分せずに横流しした産廃業者で有り、その産廃業者から購入した廃棄物を流通させていた流通卸会社でしょうに。しいてCoCo壱番屋が取れるだろう対策としては、産廃業者と契約するときに、今回の様な違法行為があった場合には懲罰的な違約金を課すとか位だろうか。あるいは、廃棄食料品を再利用できないように何か意図的に異物を混入させるとか、粉砕などして再利用できない形にするのかだろうけど、本来はそう言うことを産廃業者がやる仕事なんですよね。

食糧自給率の低い日本で、廃棄食材や廃棄食料品が多く出るのは確かに問題なわけで、それは解決しないと行けない課題なのは確か。最近では、出荷前検査では寝られるような、形の歪な食材を、例えばサラダとか加工用の食材として使用する事で、歪な形が不利にならないような利用方法を進めたり、これまでは地元で外道として捨てられていた地物の魚を希少性を売りにして販売したりと、流通機構や保存技術の進歩が新しいビジネスモデルを生み出しつつあります。そういう部分はもっと進めるべき事。一方で、製造技術上100%完全で安全な食料品製造することは難しく、今回の事件の発端になったような製造機器の断片が混入したりする異物混入事件はどうしても発生するわけで、そういうところはどうしようも無いでしょうね。仮に0.00xxx%の異物混入を限界値として許したとしても、実際にそれで消費者にトラブルが発生したら大事件になってしまうわけですから。その社会的責任や損害賠償を考えたら、製造会社としてもリスクやコストを自ら払って廃棄した方が遥かに完実なんですからね。

今回の一連の報道を見聞きして感じたのが「バックラッシュ」の存在に関して。歯車のかみ合わせ部分には「バックラッシュ(あそび)」が必ず必要で、これが存在しないと歯車が回りません。見た目的には、少しガタが生まれるような隙間なんだけど、歯車が回るためには必須の物。見た目には不要とか余分に感じられるものでも、どうしても必要な部分って絶対どんな場合にも存在するんですよね。今回の場合も、安全と無駄の割合が適切だったかは再興する必要はあるかもしれないけれど、何故そう言うものが存在してどう言う場合に必要なのか、まずはその本質がちゃんと理解される報道をして欲しいですよね。勿論企業活動として、主張すべきところは正々堂々と主張して広報して欲しい。それが、結果的に消費者の正しい理解や行動に繋がるはずなので。

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