2016年1月20日

手塚治虫の「やさしいね」?

昨晩何気に観ていたCX系列の「クイズやさしいね」の特番。番組中出されて、最後にその日一番得点を獲得した「やさしいね」が、手塚治虫氏の逸話だったんですが、個人的には「それ、本当にやさしいのか?」と酷く疑問を感じたもの。

内容は、鉄腕アトムやジャングル大帝が出版されてブームになっていた頃、中国で海賊版が発行されていて、無断複製だったこともそうですし、本のサイズが異なるため小回りなども無茶苦茶だったり適当に手を加えられていたものだったこと。ところが手塚氏は、中国の読者がちゃんとした物を読めないのは不幸だと、そのサイズに合わせて小回りや内容を変更して原稿を無償で出版社に送ったという話。

確かに、作者vs読者の関係から見れば、それは一つの美談かもしれないけれど、作者-出版社-読者というビジネスの流れからみたら、作者自らが製作を放棄しているようにも感じられます。さらに言えば、そう言うことを一度著名な作者が実高してしまうと、それが前例となって後の作者の作品まで同じような扱いを受ける可能性だってあるでしょう。そこで日本からクレームが来ても、「いゃ、手塚先生はこうだった」と言われてしまうと、日本としては手が限られます。所謂「悪しき前例を作った」と言えるのに、何か一番やさしい行動だったように扱うのはどうだろうか。

例えば、その中国の出版社に対して、著作権料は低く抑えるけれどちゃんと出版契約を結ばせて、その上で段組や版サイズの違いを吸収した原稿を提供するなら分かります。でも、番組の内容を観る限りではそう言うことはやらなかったようだし、それで周りの人も良しと思ったんだろうか。番組では、二作品しか触れていなかったけれど、それ以外の作品も同様に対応したのだろうか。凄く疑問の残る内容でした。あの番組主旨から言っても、ちょっと場違いというか、「それ、違うんじゃ無いの?」とツッコミ100回入れたくなるようなコーナーでしたね。あれで、反感感じる人も多いんじゃ無いだろうか。まぁ、それで困るのはテレビ局だったりするだろうけど。

0 件のコメント:

コメントを投稿