2015年1月29日

立場が変わると

ISILの人質交渉ですけど、色々なニュースや情報番組を見ていてよく理解出来ないのが、申し訳ないけれど同じくISILの捕虜になっているヨルダンのパイロットよりも優先して後藤さんが開放されると思っているのだろうか。勿論、同じ日本人として後藤さんもそうだし、それ以外のヨルダンや他の国の捕らわれている人達は一刻も早く解放されるべきだけど、当然相手もそれで理を得ようとして色々な宣伝戦をしているわけだから、彼らの中にも優先順位はあるだろうし、お金や武器などの実利も得ないといけないでしょう。

その中で、少なくとも日本人の後藤さんに関しては、何かそう言う実利を得ると言うよりは、世間に対してのデモンストレーション的な意味の方が大きいと思うんですよね。期待していないけれど、例えばそれで対ヨルダンとか対シリアとかの交渉で有利になれば御の字。有利にならなくても、少なくとも世間の注目は集められる。それと、今のヨルダンの立場を日本にして、日本以外の国の人が捕らわれていて、それが日本(=ヨルダン)との交渉でどうにかなるとした場合、日本として、同じく捕らわれている日本人捕虜(=ヨルダン軍パイロット)に優先して取り戻さなければいけない人物って、どれだけの重要度があれば日本人(=ヨルダン人)は納得するのだろう。例えば、それが相手国の首相とか総理大臣クラスの人物なら、日本人捕虜に優先してそちらの人物奪還を実行しても、日本人として納得できるだろうか。多分納得しないんじゃないだろうか。相手がどうあれ、日本が交渉の重要なピース(=ISILの爆弾テロ犯人の女性)を持っているのであれば、それは先ず自国民救出に使うべきと考えるのが普通では。幾ら日本がヨルダンに支援しているからと言って、幾らヨルダンが親日国だとしても、やはり自国の捕虜、それも空軍のエースパイロットとして人気のある人物に優先して奪還することを自国民に納得させるとしたら、多分無理じゃ無いかと思う。

勿論、多くの人もそう言う優先順位は理解しているけれど、まだ状況が膠着している時点ではなかなか表に言えないでしょうね。日本としても、捕虜交換以外の可能性も含めて裏で交渉しているんだろうけど、厳しいでしょうね。殆ど不可能だけど、もし可能性があるとすれば、日本国内でISILの重要人物が幸運にも逮捕されて、その人物との交換というのであれば、他の国に迷惑を掛けずに日本としても有利な交渉が出来るかも。それでも、その重要人物が今度は別の国で何か事件を起こしたら、その時はその時で日本の責任が言われるのだろうけれど。

世界は、そう言う冷たい方程式で成り立っていることを理解しないといけませんね。人命が関わるほどでなくても、国際ビジネスの世界だと、似たような話は幾らでも生まれますし。

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