2014年4月22日

名創優品(MINISO/メイソウ)

知り合いのFBでシェアしていた、「名創優品(MINISO/メイソウ)」なる、中国の生活量販店の話題。まとめサイトに掲載されている店内の様子、商品の様子、さらには全国展開の様子も凄いけれど、個人的に一番凄いと思ったのは「本社は日本の渋谷区神社前4-2-8にあり、毎年一億人以上が本店へ買い物に来る」と、ちゃんと背景設定(世界観)を作って、それを堂々と主張していること。「渋谷区神社前」なんて無いけれど、これって「渋谷区神宮前」のコピー間違いじゃ無いのか? 「渋谷区神宮前4-2-8」で検索すると、千代田線の表参道駅前の住所になるんですよね。

で、妙に感心してしまったのが、このサイト。日本語、英語、中国語で作ってあって、流石に日本語のページには、機械翻訳そのままコピペしたような部分や、中国語が残っている所、明らかに意味を取り違えている部分とかあるけれど、グラフィックの使い方とかフラッシュのページとか、これ本当に「メイソウ」なる生活量販店が日本にある、と言われて信じてしまいそう(笑)。実際に中国には店舗もあって、商品も販売しているみたいなので、結構本気でサイト構築もやってるんだろうけど、本来不要というか相手にしていないだろう日本語サイトにここまで力を入れているのは凄い。多分、背景説明で日本色を出しているから、その信憑性を作るためなんだろうけど、嘘のためとはいえここまで作り込むのは凄いと感心してしまった。

これまでも中国でのパクリ製品というのは幾らでもあって、それってオリジナル商品に以下に似せるかというのが彼らの目標だったわけですよね。昔は、本当にロゴがついているくらいで、本体は酷いものが多かったけれど、最近では本体の品質も本家と見間違うようなものが登場して、デパート等でも間違えるくらい。これはこれで、パクリ製品としての一つの頂点を極めつつあると思うんですよね。で、この「メイソウ」は、UNIQLOなり無印良品なりの製品をコピーするのではなくて、それらのお店の「コンセプト」をコピーするという、新しい方向性が伺えるのが新鮮です。しかも、単に一種類のコピーではなく、複数のショップのコンセプトを上手い具合にミックスして、似ているけど一寸違う、みたいな感じのコンセプトを作り込んでいるのが、ある意味凄い。

海外では、まだまだ「日本ブランド」「日本神話」みたいなものがあり、「日本発」というのはそれだけで付加価値になるわけですが、このサイトでは「三宅順也」なる創始者まで設定して、それっぽい本人写真まで作ってあるストーリー性も、これまでに無かった流れでは。これまでの「物を作る」事から「アイデア・コンセプトを作る」という、ある意味日本の神髄に近づいて来ていることに、ちょっと恐ろしさすら感じます。最近では「製造工場」としての中国の魅力も薄れて、だんだんと他の地域・国へ製造拠点を移しつつあるけれど、別の言い方をすれば、コストアップした中国の工場でも製造してペイできるだけの品質のものが、それなりのコストで入手出来るようになった、とも言えると思うんですよね。もしかしたら、本家のUNIQLOとかダイソーとかMUJIの製品を作っている工場から、多少のコストダウンをした製品を並行輸入みたいな形で国内調達しているのかもしれない。だから、製品自体の品質っていうのは、怪しげな日本語の表示を除けば、結構問題無いのかも。

そうなると、後はお店のコンセプトとか製品コンセプトとか、あるいはお店や製品も含めたライフスタイルみたいな、無形付加価値みたいなものを提案出来れば、そして嘘でも「日本発」と言うことを信じてしまえば、このビジネスモデルは「有り」なのかもしれません。韓国の場合、日本の製造工場としては電化製品中心で、価格的にも高い製品中心だったのでこういうライフスタイル的なところまで手が回らなかったけれど、中国の場合は元々そう言う商品の製造工場からスタートしただけに、こういう方向性のビジネスが出てくるのは、ちょっと日本の脅威に将来なるかも。今はジョークとしてみることも出来るけれど、あと5年とか10年とかしたら、UNIQLOとかダイソーとかMUJIとか、それに類するチェーンの一つや二つが置き換わっているかもしれない。

0 件のコメント:

コメントを投稿