少し古い記事ですけど、毎日新聞のコラムに掲載されたこの記事。まぁ、この新聞社らしい内容だけど、「攻め」とか「戦略」って、未だに軍隊の用語だと思っているのだろうか。「攻めのビジネス」とか「守る市場、攻める市場」とか「ビジネス戦略」とか「戦略的提携」とか、もう普通に使われている言葉だと思うんだけど、「言葉のプロの感覚は違う」ということなんだろうな(をぃ)。
前半で取り上げている、「垂直農業」にしても、その為には照明にしても空調にしても、「電気エネルギー」がこれまで以上に必要だけど、その点日本はどうなの、と言う話が欠けている点で駄目。一応言い訳として最後に太陽光・風力・メタンガスでの「エネルギー完結タワー」という事を書いているけれど、それで賄えるのかなんていう肝心なところが不明。「CO2を排出しない電気自動車」を宣伝するのは良いけれど、その電気を発電しているのは「CO2を排出する火力発電」というような話ですよね。
農業については「近代化」という話と「工業化」という話もあると思っています。後者が、まさにビルの中で野菜等を栽培する技術が代表だと思うけれど、前者については日本のような小規模農家を集約するあるいは会社組織のような形で大規模化して、生産コストを下げて効率化をすることが第一。最後に捨て台詞のように「オンデマンド農業」を示しているけれど、これだって一足飛びに今の日本の農業がその形にいけるわけじゃない。既存の生産体系の整理と効率化をした上で、さらに付加価値としてそう言う農業形態が生まれてくるし意味があると思うんですよね。経営が厳しくなった企業が、起死回生を狙っていきなり高価なITシステムを導入しても、それが効果を発揮しないのと同じで、何でもかんでも最新の物を導入すれば良いというわけでは無い。残念ながら、農業の効率化・工業化と言う意味では、日本はまだまだ後塵を拝しているわけで、まずは地盤固めをして新しいシステムを入れる基礎を作らなきゃ。
一方で、そういう効率化された農業は、例えばお米とか小麦とか卵とか、日々消費する素材に対してはいいと思うんですよね。で、忘れちゃ行けないのは、そう言う効率化工業化とは別に、日本の伝統的な野菜・果実・食肉といった食材生産については、ちゃんと継承して確保しなきゃ行けないと言うこと。そういう部分は、さらに大きな付加価値を付けた「商品」として国内だけじゃ無く海外にも打って出る「武器」になるわけだから。論説委員だから、何か批評する事が仕事とは思いつつ、本人は批評しているつもりが単なる批判にしかなっていない文章って、読んでいると「嫌らしいなぁ」という気持ちしか沸いてこないものです。政策に異なる提案をしたいならそれを書けば良いわけだし、使う語句を換えたいのならどう言う言葉がふさわしいのか提案すれば良いわけだし、そう言うことも無しに単に「時代遅れかもよ」というだなら、わざわざ貴重な紙面を使うことも無いと思うわけです。
0 件のコメント:
コメントを投稿