2012年7月3日

中国市場

先日日本列島にいろいろな被害を残していった台風4号ですが、我が家も幾つか被害がありました。その一つが、日よけに使っていた簾がボロボロになってしまったこと。まあ、たいした被害じゃ無いけれど、やはり夏の節電と言う意味でも、少しでも涼しく過ごすためにも、やっぱり簾は必要で、自宅のあちこち用に週末父親と近くのホームセンターで購入して付け替え作業をしました。で、その時に気がついたことが、ちょっと大げさだけど中国経済の問題について。

ホームセンターで売っている位のものなので、当然「Made in China」の製品。購入したものが、9尺×6尺(270cm×180cm)と言うもので、1400円一寸。まぁ、そんなものだろうと買って来て自宅で接地しようと思ったときに目に入ったのが、簾の横糸処理。一般的な簾だと、両端に細い竹を置いて、その間に葦を平行に並べて、それらを固定するために、多くは黒い糸(麻紐)で止めていきます。麻紐で一つ一つの葦を固定して、端の竹のところで結び留めるんですが、この結び目が凄くいい加減というか大雑把。ものによっては、緩んでいて解けそうになっている場所もあります。

いゃ、だから「Made in Chinaは駄目」という事を言いたいんじゃ無いんです。数年前に台風で壊れた簾を同じように買って来て、それも中国製だったわけですが、その当時は勿論国産の高品質のものにはかなわないし、使っている葦もそれなりのものだったけれど、そう言う結び目とか末端の処理は結構ちゃんとしてたんですよね。言ってみれば、人海戦術でものを作る中国なので、そう言う人の手で作業するものって、結構ちゃんとしていた記憶があります。ところが、そう言うものすらこの程度になってきたというのは、最近TVでもよく見るけれど、昔ほど労働力、特にこういった廉価製品なのに人手が掛かるような製品に関わる労力の品質(経験、技術)が下がってきているんだなと言うことを実感した次第。

例えば100均で売っているようなプラスチック成形の製品なんかだと、使用する成形機がそれなりのものなら、後は単純作業でものを早く安く沢山製造すればいいので、あまり関係無いのかもしれないけれど、こういう技能的な部分での競争力って、中国でもすでに無くなっている気がします。例えば、ベトナムとかミャンマーとか、そう言う場所で同じものを作れば(材料の葦があるか不明だけど)、もっとちゃんとしたものが作られる時代になりつつあるんだなと、実感した次第です。

別の言い方をすると、一つは「工場としての中国」から「市場としての中国」にかなり軸足が移ってきていると言うこと。もう一つは、こっちの方が怖いんだけど、工業化の次のステップを中国が上りつつあるという理解です。日本が技術立国として世界に冠たる位置を占めていた1980年から2000年初頭に、韓国が追いつけ追い越せで技術革新を目指していた、そんな立場に今の中国って居る気がします。韓国の場合、確かに最近のSamsungやLGEは液晶分野で日本を凌駕しているけれど、要素技術や製造技術は日本に依存しているので、まだ良いんですが、中国の場合は国家総動員でそういう部分も含めて用意するシステムですからね。だから、中国の方が怖かったりします。ただ、簾の結び目にしてもまだこだわりとプライドを持って作っている日本に対して、そういう部分はどんどん切り捨てて先頭集団にしか興味の無い中国と言う存在は、どこかで息切れして一気に崩れる危うさもある気がします。簾の結び目が、ちょっとした風でほころんで、そこから簾が崩れていくように...

0 件のコメント:

コメントを投稿