2012年2月10日

日産リーフの教授

日産リーフのCMに登場している、教授(坂本龍一氏)なんですが、CMの中で「(EVの)リーフが登場して、CO2の排出がゼロになったんですね」と言う台詞には、ちょっと抵抗があります。原子力発電が殆ど停止している現在、そのギャップを埋めているのは、某かの火力発電(LNG等も含む)なわけで、確か90%近くに達するんじゃなかったかと。と言うことは、確かに走るときには車はCO2を排出しないかもしれないけれど、そのエネルギーである電気を作るためにはCO2が生まれているわけで、そういう意味では、ちょっと教授の台詞は納得できないというか、ちょっとおかしい気がします。

あまり言葉尻を捉えて屁理屈を捏ねくり回すつもりはないけれど、でもHV車と比較して必ず電気を外部から供給されないと動かないEV/PHVの場合、その電気エネルギーをどこから入手するのか、そこまで含めて考えないと、単に「電気=CO2無し」という一面だけ強調する事は無意味だと思います。それこそ、「鉄腕DASH」のソーラーカー「だん吉」のようにしないと、「CO2がゼロ」とは言えないですよね。意図してか無意識かは分からないけれど、ちょつと作為的な雰囲気も感じてしまうCMだなぁ、とここ最近何度か見ていて毎回思ってしまう。

そんなことを考えていたら、最近普通に見られる「電動機付き自転車」って、もともとは地力で動いていた本当に「CO2ゼロ」の乗り物を、わざわざ電気エネルギーに依存するようにして「CO2を消費する」乗り物に改悪している、とも言えます。結局エネルギー収支の話じゃないけれど、楽を使用と思えば、マイナスな部分も生まれてくるのが、多分自然の摂理というかバランス感覚なんだろうなぁ。

今は、原子力は最大の悪者役になっているわけですが、その原子力は他の火力発電と比べてCO2も少ない、出力は十分に大きいと、メリットも大きかったわけです。それが、震災による事故で大きな影響を残してしまったので、今はそのデメリットのみ強調されているけれど、ハイリスク・ハイリターンな技術だと言うことですよね。同じように、EVにも沢山のメリットはあるけれど、でも一番根本的な「電気エネルギーはどうする」という部分はブラックボックス化されていて、実はその一番肝心な部分は隠されています。福島第一の事故以前は、CO2排出が格段に少ない原子力発電を増やして、必要十分な電気エネルギーを得ることで、ガソリン車をEVにしてCO2をもっと減らしましょう、というのがシナリオだったはず。ところが、肝心なエネルギー供給の部分が今現在停止しているのに、末端のEVだけ走らせることは元々の目的とは矛盾する結果を生むことになるんですよね。再生可能エネルギーや自然エネルギーが十分に準備できるまでEVは止めようとは言わないけれど、それならそれで実現可能なエネルギー遷移の話もちゃんとしないと、結局は自分の都合の良いことしか言わない不信感しか残らない気がします。それが、教授のCMを見たときの違和感なんでしょうね。

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