2012年2月16日

休眠口座

ここ数日、突如注目キーワードになった「休眠口座」。銀行などの金融機関に開設された口座で、10年以上口座にアクセスが無いもの(残高1万円以上の場合は、さらに連絡がつかない口座)は「休眠口座」として、金融機関の利益に組み込まれるというもの。昨日の夕方のニュース番組などでも一斉に取り上げていたけれど、だいたいは「人の財布に政府が手を突っ込むのはけしからん」という論調だけど、そうだろうか。

例えば、休眠口座ではないけれど、遺失物等も一定期間引き取り手が無ければ安く再販されますよね。お金にしたって、たった半年落とし主の申し出が無ければ、取得者のものになる。それに、休眠口座の場合、例え10年以上経過した場合でも、申し出があり口座主と確認できれば払い戻しされるわけで、別に10年過ぎたらクリアーというわけではない。だから、年間880億円位発生する休眠口座のうち、350億円位は払い戻しされて、事務費管理費などを除いた500億円位が実際には「引き取り手のない口座」として銀行の利益に組み込まれていることになります。この件を報道するメディアがちょっとずるいと思うのは、休眠口座のお金を復興等に使うと言うことは伝えても、じゃぁこれまでどうなっていたかと言う話は全くと言って良いほど伝えないこと。某かの善意に使われるならまだしも、銀行の利益にされる(なる)のならば、それは納得できないと言う人は多いんじゃないだろうか。

で、当然ながら銀行側の反発は大きいわけで、一行当たり数億円から場合によっては数十億円くらいの利益が消えることになるんでしょうね。これは大きい。でも、そんなことは言えないから「元本に手を付けるのはけしからん」という理由を言うのだけど、もう少し発想を転換したらどうだろうか。例えば、休眠口座の純粋に利益になる500億円のうち、一定の割合を供出して、ベンチャーキャピタルみたいなものを作り、積極的に先進技術企業発掘するようにする。今の時期なら、被災地で起業する・活動する場合には、さらに有利な条件を提示する。で、もともとは言い方は悪いけれど「濡れ手で粟」のお金なんだから、ハイリスク・ハイリターンな案件を積極的に採用するキャピタルにしてみてはどうだろう。銀行側としても、そのベンチャーなり起業が成功すれば、銀行にとっても利益となるわけだし、場合によってはお金をそのまま持っているよりは利益が上がるかも。勿論、失敗する場合もあるだろうから、トータルはマイナスかもしれないけれど、銀行の役割を考えるとそういう新しい技術や起業を掘り起こして経済活動を活性化することも必要だと思います。あるいは、この休眠口座からの利益で、伝統技術の継承や文化財の保護などの活動に使用した場合には、その分は非課税にするとか、そういうアイデアもあるかも。銀行にとっては企業イメージアップになるし、このままでは消えて言ってしまうような技術・芸術を残す切っ掛けにもなるだろうし。

ところで、報道では「銀行」という言い方をしているけれど、当然ゆうちょ銀行とか農協とかの口座も入るんだろうな? あと、宝くじの未引き換え金とかも。

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