2011年11月11日

ビジネスとプライベートの境界線

ここのところ毎週金曜日の定番になりつつある、PCWatch山田祥平氏のコラムから、Intelの考えるビジネスのコンシューマ化について。Intelの言う定義(訳)は不自然だけど、ようするに、これまではビジネスユースが最先端なものであったのが、今ではコンシューマーユースでも十分にビジネスユースをカバーできる、あるいは凌駕できるようなツール・システムが登場したので、ビジネスとプライベートの境界線がなくなりつつある、ということなんでしょうね。ふと頭に浮かんだのが、軍事技術と汎用製品のこと。少し前なら、軍事技術なるものが時代の最先端で、それこそ普通に使うには考えられないような技術はそこに隠れていた物が、いろいろな理由からスピンアウトして外部に出てきたり、あるいは日本製品に象徴されるような品質追求が行き過ぎて一般製品でも軍事規格を満足するような物が普通に売られる時代になったりしたことで、どんどんその境界線が無くなってきたこと。某PCメーカーのタフなモバイルとか、GPSとか、カメラとか。

もう一つ思うのが、ワークスタイルの多様化ですよね。一昔前なら、「仕事をする」というのは、全員が一つの場所(会社)に集まり、机を並べて作業することでした。これはリソースの集中という意味では最も効率的だと思うけれど、その分自由度はなくて、それが、サテライトオフィスとかモバイルオフィスとか在宅勤務とか、空間だけでなく作業時間も分散化するようになってきました。自分も在宅勤務をしているし、よく旅行先からでも仕事をしたりしているのでよく分かるけれど、一つはモバイルPCの性能がそれ一台あれば問題無いくらい高機能化したことと、やはり一番大きいのはネットワークインフラが整備されて大概の場所でWi-Fiが使えるようになったこと。また企業側も、そう言うネットワークを前提にして、社外からのアクセス方法(VPN)を導入するようなったことで、ますますビジネススタイルでの自由度が高くなってきています。これもIntelの言うところのコンシューマ化ですよね。

コラムの最後に山田氏が「会社の便利と、個人の便利は融合しなければ」と結ばれているんですが、まさにそれを実感しますね。で、その時に求められることの一つに「個人としてのルール遵守」みたいな事があると思います。自分ももう6年くらい在宅勤務をしているけれど、一番苦労するのがプライベートとビジネスの切り分け。切り分けと言っても、単純に仕事と個人の時間を使い分けるだけではなく、例えば自宅で仕事をしていれば宅配便の配送が突然来たり、急に用事が発生したりと、右手で仕事のメールを処理しながら、左手で個人の電話を対応しなきゃいけない場合もあるし。そういう「タスク」の使い分けと、もう一つは「データ」の分離。本来はシステムを分離すべきなんだろうけど、流石にそこまでの余裕はないし、使い勝手も悪くなるのでどうしてもシステムに同居してしまうけれど、少なくともフォルダー単位ではどちらかに切り分けられるようにして、バックアップにしても以降にしてもすぐに出来るようにしています。まぁ、将来的にはビジネスデータだけでも最低暗号化して持たなきゃいけなくなるんだろうけど。Windows8になったら、通常のWindows SKUでもBitlockerとか使えるようになるんだろうか。そうなると、個人データも含めて「暗号化」というものがいろいろと工夫が必要になりそうですね。

あるいは昔から思っているのが、「データ」一つ一つに指紋みたいな証明書が点けられないかと言うこと。仮にそのデータが複製されたから「オリジナルxxxxxの何月何日作成されたxxx番目の複製」みたいな事がすぐに分かれば、仮に漏洩した場合でも出所がすぐに分かる。まぁ、人間のやることなので抜け道もすぐに作られそうだけど。ただ、今多くの企業で実行しているように、システムレベル、ハードウェアレベルでセキュリティを守るというのはやっぱり限界があるような気がします。一番良いのは、人間自体が事の善悪の判断のようにデータについてもルールを守れれば良いのだけれど、そっちの方が難しいだろうし。

例えば、最近ではペットに小型のメモリーを体内に埋め込んで管理者とかいくつかの情報を保存できるけれど、あんな事が「データ」単位で出来ないですかね。今の技術で言えば「証明書」みたいな感じかな。データとして「ちゃんとオーナーがいて、正式にリリース(提供)された」という証明付きのもの。そう言う物が無いデータは「野良データ」として、普通は扱わない。でも、データ保健所に野良データを持って行き、正式に登録してワクチン投与してクリーニングしたら、正式なデータとして使えるようになる、とか。うーみゅ、話はどんどん発散してしまうけれど、コンピューティングサービスのクラウド化というのは、結局ビジネスとプライベートの境界線をどんどん低くしていき、最後は無くなってしまう物だと思うので、そう言う前提で企業のビジネスシステム構築はこれからしないといけないんでしょうね。

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