日経Bizの梶原しげる氏のコラムから、「日本酒の都市伝説」について。まぁ「思い込みに捕らわれるな」「常識を疑え」みたいなことを言いたいのでしょうけど、それならば、このコラム自体も先ず疑わないと(笑)。で、個人的にちょっと「???」と感じるのが、蔵元さんが言っている「美味しいお酒は、燗でも冷酒でも美味い」という事。もちろん、この蔵元さんのお酒とか、全国各地の蔵元さんのお酒には、そういうものも多いと思うけれど、そこにもちょっと注意が必要だと思うんですよ。
例えば、無味無臭の「水」であっても、それが40度位の暖かい場合と、10度位の冷たい場合では、人の感じ方・印象はかなり違います。ましてや、複雑な味をしているお酒なんかだと、その温度帯全てでベストの味覚を出すのは大変だと思うんですよね。もちろん、難しいけれど出来ないわけではないし、蔵元さんが言うんだから実行しているところも多いでしょう。ただ、そういう「良くできたお酒」を作るところもあれば、そのお酒のピークを燗酒のところに持って行く、冷酒の冷たいところに持って行く、そういう特色を出そうとしている蔵元も多いはず。実際、お酒のラベルで「このお酒は冷たくしてお飲み下さい」と断り書きをしているお酒も結構ありますが、それをわざわざお燗して飲むのはどうかと思うし。
お店でのやり取りがちょっと書かれているけれど、その蔵元さんのお酒にはラベルのどこかに「このお酒は、熱燗から冷酒まで、殿の見方でも美味しくお飲みいただけます」って、一言書いてあるんだろうか。そう書いてあれば、お店の主人だって「いや冷酒で」なんて言わないだろうし。「いゃ、そんな事書かなくたって、常識で分かる」なんて言うことは言わないで、ちゃんと飲み頃温度なり、お勧めの飲み方、なんて言うのをしっかり訴求していくのも、マーケット拡大のための重要な要素だと思いますけどね。
ところで、最後の「雪国のが必ずしも酒所ではない」という理由には、なるほどと感心する反面、でも昔だと酒蔵の室温を上げることは技術的に可能だろうけど、冷やすことは難しい事を考えると、やっぱり雪国あるいは寒い地方の蔵元の方が、発酵過程をコントロールしやすいだろうから、やっぱり品質的に安定したものが作れそうな気がします。でないと、この記事に登場する蔵元が雪国の蔵元と同じくらい血のにじむ努力をすれば、さらに素晴らしいお酒が出来ることになるわけですから。私なんかが考えるのは、雪国の場合、冬場は雪に閉ざされて娯楽が少なくなったりするので、どうしても昔の数少ない嗜好品「お酒」作りが盛んになって言ったんじゃないかという気もしています。もっと説得力のない理由だけど(笑)。結局は、常識の中で広いマーケットを活用していくのもビジネスだし、その常識を破り新しい非常識を生み出していくのもビジネス何ですよね。臨機応変に、そのどちらも利用出来る人が、結局は次の成功を勝ち取れるわけですよね。
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