2011年7月24日

中国の列車事故

中国で発生した高速鉄道の衝突事故。高架橋から真っ直ぐに地上に落下している車両の映像は、毎週新幹線を利用して会社通勤をしている身としては衝撃的な映像。今回の事故は、先月開通した北京-上海の高速新幹線路線ではなく、それ以前に開通している路線ですが、在来線に高速新幹線と在来車両を混在して運用しているようで、運行システムの不具合が原因のように言われています。

「パクリ新幹線」と揶揄された中国新幹線を見ていて不思議に思うのは、日本の新幹線やドイツの新幹線技術を取り込むのはいいけれど、多分それぞれの特徴をそのまま利用して併用していること。日本とドイツでは要求される仕様も異なるだろうし、線路の状況も違うだろうし、それぞれの共通点あるいは中国にとってメリットになる部分を抽出して一つにまとめるならまだ分かるけれど、異なる二つの車両をそのまま使うというのが凄く不思議。さらに言えば、新幹線の車両と言うは新幹線システムのごくごく一部で、それらを運用するシステム全体が肝のはずなのに、それは独自開発と言う事で、木で鼻をくくる話とまでは言わないけれどそれに近いものを感じてしまいます。

ただ、幾らシステムが複雑になってしまっても、前方に車両が居れば自動的に停止させるようなATC/ATSというシステムがあるはずで、今回の様な大惨事になることがちょっとよく分からない。言ってみれば、自動車でブレーキがあると思ったら無かった、みたいな話ですからね。私は鉄分が多い方ではないけれど、路線上には一定の区間が決められていて、その区間単位で一度に複数の車両が入らないように管理されていることは知っています。台風の時等で新幹線が中途半端な場所で停車している事がよくあるけれど、あれはその管理によって前方に車両があると進めないから。列車本数も限られているローカル線などならまだしも、幹線に近い線路でそういうことも管理していないとは思えないんですが。

具体的な原因はまだ分からないけれど、急激に開発・発展を進めた「歪み」が根本にあるのは間違いないような気がします。技術の進歩は、開発スピードを加速はしていくけれど、どうしても費やさなければいけない「時間」は必ず存在しますからね。日本の新幹線技術は、もう「枯れた技術」と言って良いと思うけれど、それでももう一度足下を見直す良い機会かもしれない。そうやって振り返り将来の為に生かすことが、この事故で無くなった人達へのせめてもの償いだと思いますし。

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