2011年5月19日

サラリーマン川柳

第一生命が毎年募集している「サラリーマン川柳」。今年も、うんうんと頷けるもの、思わず笑ってしまうもの、身につまされるもの、いろいろですねぇ。その中でも仕事柄一番気になるのが第五位の「指舐めて、ページをめくる、アイパッド」ですねぇ。まぁ、川柳の内容としては電子書籍になっても普通の書籍のクセが抜けない事を自ら揶揄しているんですが、これって電子書籍と印刷書籍の間の問題の一つでもあると思います。

印刷書籍の場合、その構造上ページを「めくる」という動作が必要なわけで、それが右から左(和式)か左から右(洋式)かの違いはあるけれど、世界共通の動作の一つ。で、電子書籍はその「ページめくり」のメタフォアを平面の画面上で模倣することで、「書籍」というイメージを与えています。新しいプラットフォーム移行のために必要な効果的なギミックの一つと言えるんだろうけど、これが逆に電子書籍の可能性を限定している気がします。

私もよく本を読むので感じるんですが、あの「めくる」という動作、例えば文庫本の場合、単に次のページに移動するという意味だけでなく、出来るだけ読んでいる文章が途切れないように、左のページ(和式の場合)の中頃くらいまで読み進むとページをめくり初めて、めくりつつ縁の部分を少し平行にして最後の部分まで読み切ったところで「ぴっ!」と次のページの先頭部分が目に入り、そこを読みながらページめくりが完了する、と言う動作を繰り返していると思います。で、この動作は三次元の世界だから成立する方法であって、平面に時限の世界ではどうしても手前に来る部分が後ろの部分を隠してしまうので、実はあの「めくる」動作は電子書籍では読みにくいんじゃないかと思っています。

じゃぁどうしたらいいのかというと、自分としては電子書籍は「巻物式」の表示をするのが良いと思うんですよね。要するにページが左右に横スクロールするイメージ。「巻物」と聞くと、どうしても巻かれた紙をだーーーーっと一気に解いて長ーーーくするイメージがありますが、あれって反対側で巻き取りながら読むんですよね。オールドファンなら、「オープンリール方式」と言えばピンと来るはず。あのイメージが平面に表示する電子書籍では一番あっていると思うんですが。勿論、データ(文章)部分は共通なので、表示スタイルとして原稿の書籍方式と巻物方式が選択出来るようにすれば良いだけなんだけど。そういうI/Fにしてくれれば、本を舐め舐めめくる人手も、タブレットを使うときは舐めなくなるんじゃないだろうか。

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