情報誌「ぴあ」の最後まで残っていて首都圏版が、7月21日発売号で休刊するという記事。まだ、インターネットの「イ」の字も無かった時代に、当時最大の娯楽であったコンサートやイベント情報を提供してくれた「ぴあ」は、言ってみれば今のGoogleとかグルメサイトみたいな存在だったと言えるかも。そういう情報だけで、一つの本が作成されて、しかも最初は月刊だったけれど、その後週刊になり、毎週更新するだけの情報がある、というのが当時としては驚きでした。「毎週金曜日は『ぴあ』の日」だったかな、金曜日には必ず買っていた記憶があるなぁ...
この「ぴあ」創業者の矢内氏は、いわゆる学生ベンチャーの先駆けとして有名な人で、「ぴあ」創刊の話等は、その後ベンチャー企業が乱立した時や学生起業家がブームになったときには、必ず登場する成功事例の一つでしたね。私なんかも、最初の頃は「ぴあ」で紹介されるイベント情報よりも、そこで紹介されているイベントの内容を読むだけで、何かそのイベントを楽しんだような気分になって、それでお得感を感じていた記憶があります(笑)。その後、イベント情報紙の「ぴあ」のページの端に掲載されていた「はみだし ぴあ」(読者の一言投稿)が最大の楽しみになり、イベント情報提供紙自体がイベントになったりしてね。今では当たり前の、オンラインでイベントチケットを購入する方法も、「ぴあ」が始めた「チケットぴあ(チケぴ)」が最初じゃないだろうか。それまでなら、イベント会場とかチケット販売の専門店で購入しないといけなかったのが、レコード店や書店の隅の「チケぴコーナー」で簡単に購入できるようになったんですからね。しかも、自由に席とか日程とか選びながら。
「ぴあ」が、雑誌で成功して、その成功体験から紙媒体としてのビジネスを中心に考えたら、多分もうずっと前に消えていたのかもしれません。メジャーな媒体になり、広告収入に依存するような体質になったりしていたらね。そうではなく、会社の目的として「イベント情報の提供」というコア部分に拘ってきたからこそ、「チケぴ」とかより便利で広がりのある分野を開拓できたのだと思います。だからこそ、より最新の情報をより早く確実に提供すると言うことを考えれば、その後のインターネット時代の到来は、更なるビジネスチャンスと思えたでしょうね。だからこそ、今回の休刊は、オールドファンとしては寂しいのは確かなんだけれど、本当の意味での「発展的解消」と言えるんだろうなぁ。
で、ここで気になるのが、未だオンライン化・電子化の並に乗り切れていない、新聞や雑誌等のメディア。 勿論、彼らには昔と比べて減少したとはいえ、まだ紙ベースでビジネスをするだけの規模もあるし、そうしなきゃいけないしがらみもあるんだろうけど、でも本来の情報提供という目的を考えると、必ずしもこれから伸びるとは思えないし。また、彼らの場合、インターネットの前に「テレビ・ラジオ」という別のオンライン情報配信システムにであってしまって、しかもそのシステムに深く依存している状態だから、そこから抜け出て次のプラットフォームに移行するというのも難しいだろうし。そういう選択と集中を間違えると、今の大メディアの統合なんていうのも生まれるかもしれない。
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