2010年6月21日

古着からエタノール

TBS系列で毎週日曜日の夕方に放送されている「夢の扉」という番組はお気に入りの番組の一つで、出来るだけ毎週見るようにしています。昨日の放送内容は、綿繊維からバイオエタノールを作るという話。大量に出回る古着を回収して、そこに酵素を作用させて綿繊維を糖質に変化させ、そこに酵母を作用させて糖発酵からアルコールを生成する技術。具体的な効率やコストには番組ないで触れていなかったけれど、一枚のTシャツからそこそこの量のアルコールが取れていた印象。今は燃えるゴミとして捨てられる事が殆どの古着を集めて大量に処理をすれば、結構実用的かなと思いましたね。この技術でなるほどと思ったのが、綿100%の衣類でなくても、使用する酵素が綿繊維にのみ反応するので、ポリエステルとかナイロンが混ざっていても、その部分は未処理のまま残り分離できること。ペットボトルの処理でも、ラベルを剥がしたりする手間があったときにはなかなか普及しなかったけれど、粉砕して自動的に分離処理出来るようになってからはかなり普及したように感じます。同じように織り込まれている何種類もの繊維質を分離して選択的に処理するのは事実上無理だろうから、こういう微生物や酵素を利用した処理というのは凄いと思います。

問題なのは、どうやって古着を集めるかで、今は大手衣料品メーカーが「ECO」というキーワードの下に協力しているようですが、場合によっては家電リサイクル法みたいな感じで、衣類の廃棄には特定ルートでの回収義務みたいなものを決めないといけないかも。それが出来れば、今回の技術は資源の少ない日本にとっても重要な産業になるかもしれませんね。

賛否はあるかも知れないけれど、古着がエネルギーになる事で衣類の回転率が早くなり、それが景気にも好影響を与えるかも知れないし。一方で、古着を継ぎ接ぎしながら大切に使って、何台も受け継いだような日本の「もったい無い」という考えが廃れていくかも知れないけれど、そういうことが必要な衣類は衣類として残るだろうし、逆に下着類やTシャツのような、消耗品的な衣類は今回のようなリサイクルに回せば良いだけだし。実際、着古した衣類は、これまではスフや汚れ拭きのような用途にしかならなかったわけだから、それを考えるとより実用的な技術開発と言えるんじゃないだろうか。個人的には、化学・生物学というような畑違いの分野の技術だけれど、かなり興味を引かれた内容の番組でした。

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