2010年6月17日

賃上げ闘争

中国で広がる賃上げ闘争の波。低コスト化を目指して、中国にあらゆる業種が進出した時から、いつかはこういう時期が来るとは思っていましたが、今回はこのコストアップの影響はどんどん大きくなるんじゃないでしょうか。一つは、過去同じように低コストを目指して海外進出しても、時間がたてばその地域・国の生活水準がアップして、それが賃金アップにつながり、さらなる低コストの地域を目指すと言うことを繰り返してきたから。さらに、そういう意味では中国という場所は政治体制や国の経済政策もあって、これまでよりも長い期間抑制されてきたと思うものの、記事にも書かれているように今は様々な情報に中国国内といえどもアクセス出来る時台になりましたから、労働者の労働意識もどんどん変化していく時代になりましたからね。いつまでも、低コストで働くことに疑問を感じないと言うことは無理でしょう。

不思議だったのは、海外メーカーの下請けで発生したような事が、他の国内メーカーには影響しないのかということだったんですが、
当局が恐れるのはストの常態化で、賃金や待遇に対する不満が政府批判に発展し、社会不安につながることだ。中国当局者は「当局の思惑を超えるストの拡大は許されない。標的は外資工場に絞られているようだ」と指摘する。
と言うことなんですね(まぁ、予想通り)。今は押さえられているけれど、今後何かの拍子に大きな爆発になりそうな気がします。自分の仕事でも、中国の製造工場、正確に言えば台湾のOEM/ODMが中国国内に持っている開発・製造拠点がビジネスで重要な地位にあるわけで、ここが先日のFoxconnのようなトラブルが定常的に発生するようになると、ちょっと(かなり)困ります。とは言っても、過去日本国内で賃金の安い地域に製造拠点を転々とし、そこから韓国に出て、それが台湾、中国と移ったわけで、時間の流れには逆らえないもの。次の低賃金製造拠点を探すにしても、それは時間を何年か先延ばしにするだけで、その分の投資だってバカになりませんし、ぐるっと地球を一周したらどうするんだという話も。

一つのアイデアとして「機械化」というのがあって、空洞化に悩む日本のメーカーも、機械化をどんどん進めて国内においても低コスト化に挑戦しているわけですが、その中でも機械化出来るものと厳しいものがあって、日本の得意な分野といえどもなかなか厳しいですしね。

個人的に象徴的だなと思うことがあって、それはUNIQLOの中国進出。元々は、中国国内の安い製造工場で大量に衣類を製造して、それを日本で低価格で売り出すというビジネスモデルだったUNIQLOが、その仕組みを中国に持ち込むというのが何か矛盾しているように感じたんですが、ふと気がついたのは、中国国内に「二つの中国がある」と思えば納得出来ます。詰まり、低コストで製造する地域と、ある意味日本以上に消費をする地域と言うこと。全社は、経済特区とか内陸部、後者は北京・上海等に代表される沿岸部等でしょうか。最近は中国から日本への買い物旅行も拡大していて、どんどん経済格差が広がっている印象は日本にいても感じます。

中国については、日本を追い抜く経済大国振りが多く報道される反面、増え続ける国内人口と拡大する経済格差、さらにはオリンピック、万博と続く大きなイベントに便乗した、いわゆるバブルも膨らみ続けていて、人ごとながら大丈夫かなと言う印象が最近特に強く感じます。今回の賃上げ闘争が、その前触れでないことを祈っているけれど...

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