先日は久し振りにお湿りの雨が降ったけれど、その後はそんなことも忘れるくらいの猛暑日が続く今年の夏。そんな猛暑を乗り切る道具の一つとして、昔なら団扇や扇子を手に持って歩く姿が普通だったところ、最近では携帯扇風機を手に持ったり首にかけたりする姿が一般的に。時代の流れを感じる社会風景の変化ですよね。それに、人力頼みの団扇や扇子よりは、モーター駆動で結構強力な風を送ってくれる携帯扇風機は、ある意味現在の必需品とも言えそう。
しかし、この猛暑の中ではそんな携帯扇風機が原因で熱中症になる人が増加しているという奇妙な話も。理由の一つは、本来ならば発汗した汗が蒸発する時に気化熱で体温を奪って冷却するはずが、携帯扇風機の風を当てることで気化熱を奪うこと無く汗が蒸発してしまい、結果体温上昇を抑制できなくなること。これはちょっと意外でした。風を当てて蒸発すれば、その時に熱も奪っていくものだと思っていたから。よくよく考えたら、対応の熱を利用して水分が蒸発する場合と違って、当てられた風のエネルギーを受けて蒸発したら確かに対応の熱エネルギーは減少しないよなと納得。もう一つは、気温が体温と変わらないか逆に高い状態になると、その風を当てることが対応上昇を抑えるのでは無く上昇を促すような高価になるという話。これは凄くよく分かる話で、以前もここに書いた記憶がありますが、これと似たケースで仕事のトラブルがありました。
開発している製品は内部冷却用の空冷ファンを内臓しているんですが、この製品を何台も並べて長時間連続稼働試験(ロングラン)しても問題無いことを確認するテストがあります。ある時、それまでは問題無かったのに、突然このテスト中に製品が壊れる、暴走する、以上エラーが発生するなどの問題が出始めました。普通に使う分には問題無く、ロングランテストの時には結構纏まった台数で発生します。特に原因に心当たりはなく、何度かテストを繰り返して原因を探してみますが、全く問題が出ない場合も有りお手上げ状態になりました。で、何度かテストをしているうちに気がついたのですが、製品をロングランテストにかける時の並べ方でどうも問題の発生頻度が違うらしいと分かります。で、色々試してみると、製品を全部正面に向けて横に並べた時にはよく問題が発生するけれど、 台数を増やしたいために90度横に向けて横向きに並べると全く問題が出ません。それで分かった原因が、この製品は冷却用の内蔵ファンがあって、左側から吸気をして右側から排気するエアフローだったので、横に並べると左側の製品からの熱い廃熱を右側の製品が吸い込んでさらに熱くして右側に排気するという、廃熱リレーをする状態になっていたので、熱暴走下状態になっていたことが分かったんですよね。だから向きを変えて、隣りの廃熱を拾わないようにすれば全く問題無く動作したわけです。今の猛暑・酷暑の時の携帯扇風機は、まさにこれと同じ事なんですよね。
例えば、冷たいペットボトルを携帯扇風機の背後に置いて冷たい冷気が当たるようにするとかすれば良いのかな。携帯扇風機の利用方法にしても、これだけ外気温が高い状態だと、通常の使い方では間に合いませんね。最近だと、ベルチェ素子を利用した首掛け型の携帯クーラーなんかも見かけるみたい。あるいは、風を当てるにしても直ぐに乾燥する汗の代わりに、水分を含んだタオルとかを首にかけて当てれば、蒸発する時の廃熱効果が期待出来るらしい。いずれにしても、正しい使い方をしないと適切な効果も期待出来ないわけで、こういう知識のアップデートというか、そういう製品を提供している企業側の啓蒙活動は重要だなと思いました。
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