2017年5月24日

法の名は。

組織犯罪処罰法改正案(テロ準備罪法案)』が衆議院を通過。参議院での審議入りは野党の抵抗でどうなるか分からないけれど、会期延長も必要な状態になり、更に混乱する予想も。で、その衆議院通過を伝えるメディア各社の見出しを比較してみると、読売新聞と産経新聞は正式な法案名を使用しているものの、それ以外の各社は「共謀罪」を強調。毎日新聞の見出しは、乱し自体には「共謀罪」は含まれない物の、「共謀罪」という特集カテゴリーをわざわざ作ってその中にリスとしているから、ある意味質が悪い。
今回のこの法案が、国際的なテロ活動に対して日本としての国際協調するために必要で有りそれが結果的に国内の安全に繋がるという半面、確かに恣意的に利用されることで身に覚えの無い犯罪疑惑を掛けられることも可能性は有るかもしれない。ただ、野党や読売産経以外のメディアの報道を見ていると、その共謀容疑のみ誇張して報道しているだけで、それ以外の内容に関してはほとんど触れていない。危険性があって、それを主張することは構わないけれど、それならそれでメリットに関しても伝えて、どちらを選択するのか、あるいは共存出来ないのか、そう言うことをして国民に選択するために必要な情報を提供するのがメディアの仕事じゃ無いだろうか。決して自分達の主張を押しつけることが仕事じゃ無いはずなのに、恰も自分達が正しいことを当然のように記事にしている気がする。共謀容疑に関しての処罰もこの法案の一部で有る事は確かだけれど、でもそれが全てでは無いはず。その点が重要だとしてメディアがその部分を中心に取り上げることは、それこそのメディアの自己判断だと思うけれど、だからといってそれのみを強調して煽るような内容ばかり書けば良いという物でも無いでしょう。例えば、この法案が不成立の場合でもその法案が目指していて安全や安心が担保されるのかどうかが例えば個人的には知りたいところだけれど、そんな話はどこにも出てこない。で、「共謀罪」というその前から受けるマイナスな印象を武器にその危険性を訴えるというのは、それって目的のために手段を選ばないという事で、その考え方が「テロ」に近いんじゃ無いだろうか。

法律の名前は、多分本来の名称は誤解の無いように長い名称になりがちなので、それを元の意味を損なわない程度に短縮したり略したりすることで浸透させることも大事だと思います。今回の場合も「組織犯罪処罰法改正案」を「テロ準備罪法案」というのでも長いわけで、これを例えば「テ準罪」とかにすれば良いと思うけれど、そうなると「テロ」とか「準備罪」とか重要なキーワードが隠れてしまう。だから「共謀罪」という都合の良い言葉をメディアは重用するのだろうけど、でもそれはそれで目的や趣旨を偽っている可能性もあるわけで、それを正しいように使っているメディアは「フェイクメディア」と言われても仕方が無い。個人的には「テロ準備罪法」あたりが一番分かりやすいと思うけれど、ことさら共謀罪を主張するメディアは実は自分達が共謀していることの後ろめたさがあるから積極的に使用しているんじゃ無いか、とふと勘ぐってしまいます。週刊誌とかタブロイド紙あたりが扇情的に使用するのはある意味仕方ないとしても、名のある大手メディアがそう言う片棒を担いでいるのって、結局彼ら自身の信頼性が失われて、ますます衰退していくだけだと思うのだけれど。少なくとも、フェイク臭が感じられるメディアは、ますます先鋭化して一部の人にのみ指示されるようになるんでしょうね。それはそれで別の意味で怖いけれど。

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