2013年2月21日

大手メディアの脆弱性

ITmedia、誠のコラムから、「大手メディアの脆弱性」について。と言っても、大手メデイアの社内システムが云々ではなく、メディアに掲載された記事の内容についての話。まず俎上に上がったのは、例のPC遠隔操作事件に鑑み、ウィルスソフトの「ソースコード」が見つかったことを、あたかも「ソースコード」という名称のウィルスソフトが発見されたかのような記事を掲載した朝日新聞のメディアリテラシーについて。外来語を、カタカナ表記にはするにしても、比較的安易にそのまま日常の言葉の中に取り込む日本語の特性を考えると、私なんかでも知らない「カタカナ語」は沢山存在しているので、単純にこの記事の記者や新聞社を責める事は出来ないけれど、でも、だからこそ咀嚼して読者に正しい情報が伝わるようにするのがメディアの仕事な訳ですからね。

次の例としてあげている「デリバティブ」にしても、こう説明して貰えると「なるほど」と理解出来るんですが、普通に報道されている内容を見る限りでは、なかなかここまでの理解は出来ません。それは、字数の制限もあるから仕方の無い部分もあるけれど、だからこそ物理的な紙面での記事作りと、字数や図形等の表現方法の自由が大きいWeb等の媒体利用での情報提供って、もっと工夫する必要があると思うんですよね。勿論、その為には余分なリソースなりワークロードも必要なわけで、単純に紙面作成の為のデータをWeb媒体に転用するというだけで済まない問題もあるんですが。

TV-CMで、「続きはWebで」とWeb誘導型のスタイルをよく見ますけれど、「詳細はWebで」という事の方が望ましいのでは。見出しは物理メディアに任せて、本来の情報提供はWeb誘導でというスタイルは、最近の新聞社サイトの有料記事と無料記事の切り分けにも似ているんだけど、結局どこを観ても閉じた情報にたどり着けない時点で落第だと思うんですよね。新聞社と言えども企業だから、無料記事と有料記事を分離してビジネスモデルを構築するのは大いにやるべき。でも、仮にも情報提供企業=メディアであるわけだから、無料記事と言えども公に公開する以上はちゃんと意味のある情報として完結して提供すべき。朝日新聞のサイトなんかだと、記事途中でいきなりぶち切れて有料ページに誘導されるけれど、なんか怪しいお店の客引きにあったみたいな違和感と不快感を感じます。

「ソースコード」と名付けられたウィルスソフトは、もしかしたら存在するかもしれないけれど、でも情報のオリジナル(多分警視庁あたりの発表)を観れば、ウィルスソフトを作成するプログラムが記述されたファイル、という文字通りの意味と言う事は分かるはず。でも、短絡的に判断してしまうのか、あるいはウィルスが見つかったと言う事よりも、その犯人に関しての興味の方が重要と思ってしまうので、そういう思い込みが一番問題だと思うんですよね。で、そういう「思い込み」を読者にも助長してしまうのが、中途半端な内容検証で公開してしまう、今回のような掲載記事で有り、また意味を成さない状態で切り貼りして提供する、有料公開記事のようなメディアとしての姿勢ではないかと思います。情報というものを中途半端に提供すれば、当然そこに発生するノイズも増えるわけで、伝搬しているうちにどんどん情報が改変される、あるいは喪失されていきます。それは、伝搬度合いが進めば進むほど避けられないことだけれど、限られたデータ量でも完結した内容を提供することで情報劣化を防ぐことはも出来ます。そう言うことも含めて、今のメディアが情報企業としての活動をしているかという、かなり疑問では無いかと感じますね。「脆弱性」というよりも、「劣化」といったほうが適当かもしれない。

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