昨日のW杯予選の日本vsブラジル戦、すでに3敗しているチームとは思えないくらい、日本強かったですよね。その前の韓国戦でも、これまでのイメージとは違うくらい強い日本。それを支えているのが、試合中リアルタイムに情報が届けられる、アナリシスシステムで、今回も眞鍋監督が真っ赤なカバーを付けたiPadを片手にコートサイドに立つ姿が何度も画面に登場しています。去年の世界選手権の時に話題になって、その内容なんかも紹介されていた記憶がありますが、ああいうツール導入を許しているバレーボールは、フットボールよりも進んでいると感心したことがあります。
フットボールは、いわゆる「スポッター」が試合中に大きな役割を果たすわけで、スタンド上部にあるスポッター席のスタッフがゲームを逐一解析して、ケーブルで繋がれたサイドラインのコーチに情報を渡すわけですが、今のところ許されているのは音声での会話のみ。少なくとも日本のルールでは、例えばスポッター席でフォーメーションのチャートとか書いたら、それを持ってベンチに手渡しして運ばないとダメ。FAXとか携帯で送るのもダメだし、だいたい試合中ベンチエリア内での電子機器の使用は(携帯電話も含めて)禁止されているから、非常に不便と言えば不便。
少し前までは、このスポッターシステムは、とにかく合理性と娯楽性を追求する究極のスポーツ(Ultimate Sports)であるアメリカンフットボールの象徴みたいなところもあったけれど、いつの間にか他のスポーツもどんどん新しいシステムを取り込んできて、先進性だけならこのバレーボールのようにフットボール以上の競技も生まれてきています。勿論、iPadを使ったから試合に勝てるわけではなく、女子バレーの場合ちゃんとデータを集めてそこから有意な情報を取り出して提供するアナライザーと、そのデータをちゃんと咀嚼して瞬時に試合に応用できるコーチ・監督の能力が一番大きいんですけどね。実は、iPad等のツール類も「手段」の一部でしか無く、一番コアとなる「情報抽出=アナライザー」と「情報応用=コーチ」のスキルが一番重要で、その間でやり取りする情報伝達手段が、デジタルデータあろうとアナログ音声通信であろうと、実はそれ程影響無いのかも。
私も昔ちょっとスポッターの真似事みたいなことをしたことがあるので分かるけれど、このアナライザーって凄くスキルの要る仕事で、ここを強化できるだけでも日本のスポーツ界は一歩も二歩もステップアップできるんじゃないだろうか。ただし、要求されるスキルは大変ですけどね。まずは事前に対戦チームの情報を収集して理解出来る基礎能力、試合前から相手の様子を観察し、試合中は1プレー毎に瞬時に状況を把握できるような判断能力、さらには、それらの情報から最適な回答を見つけ出してベンチに伝える処理能力、こういった異なるスキルを瞬時に切換ながら間違いなく機能させなきゃいけないので、とても生半可な能力では出来ない仕事です。そういう事が出来る人材を獲得出来たのが、今の女子バレー日本代表チーム最大の武器じゃないかと思いますね。
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