2011年7月8日

6分の1のコスト

太陽光発電のコストを6分の1に下げれば原子力と同等」と首相は言ったらしい。単純に現在の発電コストの比較なのか、今回のような事故発生時の保証なども含めてのコストなのかは不明だけれど、記事の続きを読んでみると、どうも開発コスト等は含まないで、いわゆるランニングコストでの比較と思われます。詳細は分からないけれど、いずれにしても今の原子力発電のコストと太陽光発電のコストには6倍の差がある、というのが彼の理解のようです。

確か、太陽光発電パネルの発電効率って、だいたい15%位だったと思うので、仮にこの効率を目標値までアップしようとすると、90%もの効率で発電しないとダメ。今の太陽光発電パネルの開発って、1%とか数%の発電効率アップのために、とんでもない開発努力を投入してしのぎを削っているわけで、90%もの高効率での発電なんてもう今の太陽光発電技術では無理でしょう。宇宙空間に大規模な発電用アンテナを展開して、それをマイクロ波で地上電送するようなことを考えないと...

じゃ、数で稼ぐのか? というアイデアも浮かんだけれど、結局数を増やせば発電量は大きくなるけれど、肝心の単位毎のコストが改善されなければ、単に高い料金の電気が増えるだけで、誰も使わない電気が流れるだけという事になりそうですね。というか、自然エネルギーの中で何でここまで太陽光発電に関わるのか、それが不思議。太陽光発電にメリットがあるのは、一年中天候に恵まれた土地がなきゃいけないわけで、四季の変化が大きい日本ではそういう場所はなかなか無いでしょう。風力発電にしても同様。個人的に一番脈がありそうだと思うのは、地熱発電で、これを開発するならまだ分かるんですけどね。ただ、これにしたって火山活動とか地中の中に関係するから、例えば大きな地震とか発生した場合、それまで活発だった地熱発電の周辺で活動が低下するかもしれない。そういうリスクもあるけれど、定常的にそれなりの出力が期待出来るという意味では、自然エネルギーの中では地熱発電が一番可能性があり、太陽光発電などは、個人宅の非常用発電施設とか、そういう目的の方があっている気がします。

で、それだって、直ぐに準備できるわけではなくて、2020年に3分の1に下げて、2030年に6分の1に下げるなんて悠長なことを言っているけれど、じゃぁ、それまでの10年、20年はどうするのか、肝心所の話が全くないんですよね。確かに、最後の「6分の1ならコストが同等」という所は正しいかもしれない。でも、途中の説明が一切されていない以上、数学のテストで答えだけ入れて途中の計算式を書いてない答案と一緒で、確かに正しく理解して頭の中で計算して回答を導き出したかもしれないけれど、それが証明できない限りは答えの値はあっていても「不正解」ということ。何か、支離滅裂になりつつありますね。原発にストレステストを適用する前に、自分自身へのストレステストが必要なんじゃないかと不安になります。

0 件のコメント:

コメントを投稿