2011年6月27日

空洞化する日本

電力不足により、開発・生産拠点を海外にシフトしつつある国内企業が増えているという記事。10年くらい前なら、国内にとどまる理由としては、高い人材コストはあるけれど安定して豊富な社会インフラがありました。逆に海外移転する場合の問題点は、安い労働力に対して不安定な社会インフラ、特に電力や法律関係と言う問題有り、その為に進出を躊躇する、進出しても現地で苦労する企業が多かったわけですが、それがこの10年ほどで逆転しちゃいましたね。安定した電力を求めて、中国や東南アジアに出て行くなんて、自分たちの世代だとちょっと考えられない事です。復興財源獲得のために、税金アップも予想されているし、ますます国内企業の空洞化が広がりそうですよね。最悪の場合、現在点検中の原発の再稼働が出来ず、現在稼働中の原発も来年春までにはすべて定期点検に入るため国内の原発全てが止まる可能性があるわけで、企業としてはその最悪のケースを想定して今から準備しないといけません。

自分も小さいながらも管理しているサーバーがあり、この節電計画を上司から言われていますが、正直困っちゃいますよね、急にそんな話を出されても。諸般の事情でローカルに持たないといけないので、遠隔地のデーターセンター等に昨日を移設すると言うことも出来ないし、もっと省電力の最近のモデルを購入するほどお金もないし、固定資産になるから簡単に増設するなんていうことも厳しいし。たまたま昨年から移行を予定してい現在準備しているメインのサーバーがあるんですが、このサーバーを仮想化して、それ以外にある幾つかのサーバー機能を統合して、物理的に稼働している本体数を削減するしかないかなと思っていますけど。その何百何千何万倍もの規模で同じようなことを考えないといけない企業の場合は、もう国内での活動は出来ないかもしれませんね。

辞任の花道に「再生可能エネルギー特措法」が欲しいと駄々をこねている首相がいるけれど、今必要なのはコスト高で出力も小さなエネルギーを使うことではなくて、そこからどれだけ効率的に多くのエネルギーを取り出せるか、そういうことを研究開発する事だと思います。だから、10年とか20年とかでは無理かもしれないけれど、本当に将来に役立つような技術開発のとっかかりを作るなら賛成するけれど。で、農水大臣がSoftbank孫社長の「電田プロジェクト」を持ち上げているけれど、農水大臣として考える優先順位は、もっと別のことでしょう。何故休耕田や耕作放棄地が存在しているのか、単に農業後継者不足だけの問題ではなくて、農業行政の仕分けとか、大規模集約化することで、農業を「産業」として成立するものにするのが先だと思うんですけどね。その集約と分散で空いた土地の有効活用方法の一つとして太陽光発電の土地にするのもいいけれど、それだって電力会社に高い固定値で買わせる事を目的にするんじゃなくて、そういう耕作放棄地が多いであろう過疎地域の開発、あるいはそういう地域をある程度集約して限界集落を統合して、そこに太陽光発電を利用した高付加価値作物の農業を導入して、地域を支える柱にするような、そんなアイデアが必要だと思うんだけど。

産業の空洞化が始まれば、地域の空洞化、都市の空洞化が生まれ、それは人口の空洞化も加速するでしょうね。そうならないためにも、「自然エネルギー回帰」「脱原発」という、ロングレンジのストラテジーも重要だけど、「革新技術の開発」とか「原発の安全性向上と再稼働」というような、ミドルレンジ、ショートレンジのアクションプランもちゃんと立案して、まずは今日・明日の生活に直結するプライオリティプランの実践をちゃんと進めて欲しいものです。でも、今の政府じゃなぁ... 暫く前までは"China Risk"でしたけれど、今は"Japan Risk"の時代になってしまいましたね。

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