2011年4月11日

Battle Proved

一般紙の記事から、無線操作の重機で原子力発電所内のがれきを撤去するという話。重機ではないけれど、原子力発電所内の作業で、欧米各国がロボット提供を申し出て実際にも使われているのに、「ロボット大国」でもある日本からは、それに対応したロボットが無い、あるいはあっても予算削減などで使えないという状況にはちょっと笑ってしまいますね。でも、これも仕方ないかなと思います。欧米の場合には、例えばフランスのように原子力発電が国家的プロジェクトみたいなところもあるし、米国のように元々は戦場での使用を考えたロボットを今回投入している、いわば「現場で作り込まれた物」を今回投入してきているわけ。一方で日本の得意なロボットは、製造現場などでのロボットかであり、こういう過酷環境での独立して作業できるようなタイプは、正直あまり開発してこなかったとはず。例えば、今回の震災が発生する前に、電力会社なり原子力関係機関が、「こういう有事のために、過酷環境での作業が可能な自律式ロボットを開発する」というようなことを言うような物なら、多分「原発の安全性に自信が無いのか」とか「原子力発電所ではなく、戦場で使うことを前提にしたロボット」とかいう、難癖みたいな声が出て結局開発も頓挫しただろうけれど。

戦場で使われる武器は、その機能とか性能よりも、実際に現場(=戦場)で使われて、信頼性なり機能が期待通り動作することもそうですが、想定外の状況でも使えたりすることが確認された物しか信用されなくて、それがために"Battle Proved" なんていう言葉もあるくらですから。一般の商品でも、担当者が「これは行ける!」と思っても、発売したら全然売れないなんていう物も多くありますが、そういう意味では"Marketing Proved"と言うことも言えるかもしれないけれど、でも、こっちの場合は消費者の好み・嗜好が最大の理由で、"Battle Proved"のように、想定外の状況でも信頼できるという意味とは少し違いますね。

で、最初のリモート操作の重機になるわけですが、例えば複雑かな建築は無理でも、がれき撤去なんかをリモートで出来たり、ある程度プログラミングして出来れば、そのシステムはそのまま今回の被災地に導入して、広大な現場を効率よく整理する手助けになるかもしれない。確か、小松のトラックだと思ったけれど、露天掘りの鉱山の運搬用に、採掘場所と集積所を自動的に往復する大型トラックのシステムがあったと思います。ああいう感じで、被災地の中を自動的に巡回するトラックのベルトコンベアーみたいなものが出来れば、実際に人間が作業しなければならないのはショベルカー等でがれきを積み込む場所だけになり、人員削減にもなるだろうし。今回の発電所の場合も、多分そんなに複雑な経路は必要無いだろうし、トライアルとしてそういうシステムを建築業界が共同開発してもいいでしょう。また、放射性物質を集積した場所に、リモートで放射線防御用の立て屋を建築するようなシステムなんかも、放射線防御という事から、やはり被災地等での困難場所での作業用システムに繋がるだろうし。

困難な状況になると、それを解決するために新しいアイデアや技術を生み出してきたのが人間な訳で、その一番顕著な場所が戦場だったというのは歴史で示されています。今度は、大規模な震災という困難な状況から、どれだけ新しい技術が生まれてそれが後の世代の役に立つのか。この辺りは、日本人の気質に一番あっているんじゃないかと思います。考えてみれば、日本は様々な天災に見舞われる国で、地震もそうだし、台風は来るし、長雨だってあるし、それに対して国土は狭いし山がちで平地は少ない。唯一恵まれていると思われるのは、山がち多雨の天候から得られる水資源と、島国ゆえの海洋資源くらいでしょうか。言ってみれば、最低限の水と食料は確保出来ているけれど、それ以外は何もない厳しい環境で常に「戦いながら生活している」日本人が、自分たちの存在を証明する機会になるように思います。

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